2013年回想
北海道は雪の季節が4月下旬まで続くので、ぼくのシーズンは、ツールドブルーアイランドから始まりました。大阪をスタート、瀬戸内海をクルーズして宮崎へ、そして大分から再び海を渡って四国へ。2度の船旅を含む、ダイナミックなツアー。ぼくは、宮崎から、ヤマダさんのBMW R1200GS ADVをお借りしてラリーを追いかけたのですが、実に楽しかった。最後のビバークに着いても、このまま終わってしまうのがもったいない思ってしまうほど。日本は美しくて、やさしく、そしてまだまだ未知の風景ばかりです。北海道にいると、どうしても海は、厳しさというか、過酷な自然の象徴のように思ってしまうのですが(もちろん私的な感想ですし、北の海は豊かでもあります)、瀬戸内海、鹿児島の海の、まろやかさ、やさしさはどうでしょう。海路を中心にしたルートは、このTBIならではのものだったと思います。2014年の東京-霧島4000がどのようなルートになるのか、まったく聞かされてはいませんが、旅のダイナミズムはきっと2013年以上のものになるのでしよう。
「素晴らしい!」なんて書いていますが、選手として走ってるライダーや、ラリーのスタッフほどには、その半分も「素晴らしさ」を体験していないことも知っています。ウェブで応援したり、その一部を見物したり、スタートを見送ったり、あとでラリーのルートの一部を走ってみたりすることもできますが、やっぱりつまみぐいではわからない世界があります。7日間なら7日間、10日間なら10日間、ラリーの世界に没入し、そのすべてを食べつくさないとわからないものがあります。またもうひとつ付け加えるなら「いつか出場してみようと思っている」という人は、その考え方を改めるべきです。せっかくそこまで考えているならば、ちょっとだけ文言を変えて「次回は出場することに決めた」としてください。そうしないと越えられない壁があります。「いつか…」という人は、きっとどこからか思いがけない幸運が訪れてきて、右手を引っ張ってくれると、心のどこかで思っているのでしょう。でも、現実には、いつまでたってもそんなことは起こりません。でも「行く」と決めて、壁に一歩近づいてみると、それまで見えなかった手がかり、足がかりが見えてきて、壁を登り始めることができるものです。
2013年はもうひとつ、北海道4デイズの思い出があります。このラリーが初めて走った道東の大地。知床から釧路、それからまた日高へと。そこにはやはり海がありました。みんなも驚いたようですが、ぼくも試走の時には見えなかったので、北方領土の島があんまり近く、大きく見えて驚きました。途中少しだけルートを外れて、ゆでたてのシマエビに舌鼓をうったこと…。来年も、やっぱり道東にしようか? と思ってしまいますが…これはもう少し秘密にしておきたいと思います。とにかく、またみんなで楽しい4日間をやりましょう!
いろいろと大変なこともありましたが、2014年もまた、楽しくて希望がいっぱいの年になりそうです。ハイウェイからシングルトラックまであらゆる道の長距離ライディングをこなす、しっかりとした作りの、あまり騒々しずきないモーターサイクルを準備するだけで、こんなに楽しい世界が広がる。みんなで、まだまだやりましょう!
写真はすべて、TBI2013から。撮影、春木久史
ビッグタンクマガジン http://www.bigtank.jp
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