ざわめくような星空
■モンゴルの星空というのは、ぼくの記憶にはあまりありませんでした。ラリーの時は早く寝ることが多いからかもしれません。モンゴルでは日没が遅く、9時ごろでもまだ薄明るいのではなかったかな? 2006年に、ラリーの最南部のビバーク、ゾーモットを未明に出発した時、たくさんの流れ星に追い越されたことがありました。後になってちょうど8月の中旬、ペルセウス座流星群がもっとも活発になる頃だったと知りましたが、暗い砂漠の中の道を、小さなライトを頼りに走っているその時は、ただ夜明けがくるのが待ち遠しかったと、その不安な気持ちだけが印象に残っています。
■写真は、2008年のラリーの時です。オリアスタイという街の郊外のビバーク。オリアスタイに到着した日は、サポートカミオンの到着が遅れて、みんなで身を寄せ合うようにしてゲルの中で一夜を明かしました。翌日は、雨で停滞。テントの中で文庫本を読んだり、持ち寄ったお菓子を食べたり、あるいは少しウイスキーを飲んだりと、のんびりとした休息日になりました。午後には雨が上がって、さあ、いよいよ明日はスタートだ、とみんな上機嫌に! 本部テントの前には翌日のスケジュール、スタート順、それにリザルトも発表されています。
■晴れた空、日が落ちると放射冷却が進んで、凍えるほどの寒さになってきます。雨のために大気中のチリも消えて、本当に透き通った空になりました。ちょうど月も無い夜で、ビバークは満天の星空に包まれています。ざわざわと音が鳴るぐらいに迫ってくる星空にしばらく言葉を失いました。
写真は治武靖明 http://www.dobry.jp/
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