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No.020
2000/07/16

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■最も親しいライディング仲間と冗談まじりにするハナシですが、いわゆる"バリバリのエンデューロライダーたる三つ条件"というものがあります(作った)。第一に、ロールオフを使っていること。ロールオフというのは、ゴーグルを作っているスミスという会社がリリースしているもので、ゴーグルのレンズ上にロール状の透明フィルムを装着し、泥などで視界が奪われた場合に、そのフィルムを巻き上げることでクリアな視界を確保するという優れた道具。マディのレースなどでペースを落とさずに走るための必需品ともなっているものですね。第二にキャメルバックと総称される背中に背負う水筒を使っているこ。レース中にストップすることなく必要な水分を補給することができる、これもまた特に夏の暑い時の必需品と言われているものです。第三が、ムースチューブと呼ばれるもの。これもみなさんおなじみですが、空気入りのタイヤチューブの代わりにタイヤの中に入れて使うもので、パンクしないんですね。ロックの多いコース、ハイスピードコースなどでも安心してハイペースをキープできる、これもエンデューロでは常識的な装備となりつつあるものです。

■どれも本当に優れた道具・装備であって、特にレースで上位を目指すライダーにとっては、一度使うとやめられないぐらいのもの。ですが、そこまでは求めていないよ、というライダーにとっては、別に無くても困らないもの。ぼくがロールオフを購入して使い始めると、その友人は「そんなことでは市民ライダーとは言えないな」とまあ、これも冗談なのですが、少しの揶揄が込められた口調で言うのです。確かに、泥でレンズが汚れれば、一度止まって布で拭いてやれば良い。またキャメルバックが無くても、少しのタイムロスにはなるけどウエストバッグの水筒があれば、これも問題ない。ムースは確かにパンクの不安から解放され、トップランカーの成績を安定させる画期的なアイテム。しかし、だからといってチューブがいつもパンクするわけではなく、さらに万一のパンクに備えた基本的な装備を持つことでほとんど問題ナシ。さらに言えば、それらすべてはつい最近(とはいっても10年ほどにはなりますが…)まで、誰も触れたことも見たこともないモノたち。そう考えると、無理してまで手に入れるべきものではないだろう、と。そう、市民ライダーの基本は無理せず、自分の生活を圧迫せずにバイクライフを楽しむということなんですね。

■ぼくも北海道のレースをずっと見続け、時にはライダーとして、みんなの仲間として一緒に楽しみ、時には仕事として、というようにそのカタチは一定ではありませんが、長く関わってきていて、長いからこそにじみ出てくる楽しみというものも知るようになってきています。そんななかで一番サミシイことは、一時期を一緒に楽しみながら、いろいろな事情があって、あるいはその世界に飽きがきてしまって離れていってしまう人が意外に多いということです。さまざまな環境の変化や、心境の変化、また別の遊びに興味を見いだすことも当然のことながら本人の自由で、それをどうこうというつもりではありません。でも、もしかすると一時期をあまりにもディープに過ごしてしまうことで、それによって発生する経済的な負担や、精神的な負担が重荷となり、結果この種のアソビに嫌気がさしてしまう。そんなこともあるんじゃないか、と思うんですね。だから、相対的な評価(モータースポーツであれば順位)にこだわるのもほどほどにというのが、趣味として長く楽しむという意味においては大切なことなんじゃないかと思ったりもします。

■ですが、競技というからには侵してはならない法則性というものがあって、それがベストを尽くすということであり、またタイムトライアルにおいては「少しでも速くフィニッシュしようとする」ということ。なぜそれを侵してはならないのかというと、競技という器(うつわ)が、その法則性から逸脱した人を許容する仕組みを持っていないからで、その法則を無視・軽視する人間によっては、往々にして混乱や危険を招くことにつながるからです。「ではやはり、ロールオフやムースも含め、最新の装備は必要じゃないか。イマや常識でしょ?」ということになるかというと、そうではなく、"do my best."という絶対的な価値基準においてその法則に忠実であればなんら問題は無いわけです。最新のエンデューロバイクじゃなくても、きれいにコーディネイトされたウェアじゃなくても、かっこいいライダーっていっぱいいますよね。むしろ、10年も前のマシンでかなり使い込まれてはいても、レースのために丹念に整備されたあとがにじみ出ているようなマシンとそのオーナーの図、なんて、なかなかのものです。

■で、ぼくはどうかというと、ロールオフ、キャメルバック、ムース。全部使ってます(笑!!)。まあ、ロールオフはひとつだけ、キャメルバックもようやく最近使い出したものだし、ムースはおふるの貰い物なんですが、これじゃ市民ライダーとは言えませんでしょうか??? で、レースに出るタイヤもなぜかいつも中古(ごくまれに新品!!)なんですよねぇ。で、レース前やレース会場で「あれまあ、中古タイヤですか??」と言われることも多く、バツの悪い感じもするのですが「いやいや、○×さん。これぐらいで取り替えてるようじゃアマチュアライダーとは言えませんよ」とやり返すことにしました。我ながら良い? 屁理屈を考えついたものだと思うんですが、でも減りすぎたタイヤはいけませんね。「危険」ですから…。

ビッグタンクマガジン
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