いよいよウランバートル
■北京の翌日は、再び機上の人となり、モンゴル国の首都ウランバートルへ。建国800周年を控えて、ウランバートル空港は「チンギスハーン空港」へと名称変更したと聞きました。空港の建物は、例えば日本の地方都市の空港よりも、さらに小さいかなという程度のものですが、紛れも無く国際空港です。空港を一歩出ると、タクシーの運転手たちが群がってきます。以前は、各自、このタクシーに乗ってウランバートルの市内のホテルなりに向かったのですが、今年は、主催のSSERがチャーターしたバス2台に分乗し、10数キロ離れた郊外のホテルに向かいます。
■ホテルの裏庭には、すでに日本から輸送されてきたコンテナが据え付けられており、いよいよマシンとの対面。同時に預けてあったダッフルバッグも受け取って、マシンの最終的なセットアップにかかります。すでに午後。暗くなるまでにはマシンを仕上げて、テストも終らせなければなりません。もちろん、ほぼ完成した状態で積み込みしているので、時間は充分ですが、それでも気がせくことには違いはありません。マシンを分解した状態で空輸してきた、カナダ人のブロック・アズボーンさんと、スティーブ・ランドンさんは、焦りと、長旅の疲れもあっては、ちょっとカリカリしているようでした。
■途中、ブリーフィングを2時間ほどはさんで、再び作業。午後8時頃にはぼくもマシンを組み上げることができ、トリップメーターの調整を兼ねて、ガソリンスタンドでの給油に出発。スタンドでは「このバイクは100km走るのに何リッター使うのか?」と聞かれました。モンゴルでは、燃費をこのように100km単位で考えるのが普通なのだそうです。km/リッターと考える我々とはずいぶん距離に対する感覚が違うようです。そういえば、モンゴルのガソリンスタンドは24時間営業が当たり前、と山田さんが言ってましたが、そのことも移動や旅というものに対する考え方の違いと思いました。
■マシンを仕上げた後は、ラリー中に輸送してもらう荷物の整理に追われて夜が更けていきます。ヘリに積み込む10kg制限のバッグ、カミオンで運んでもらう20kg制限のバッグ。持って行きたいものをずいぶん削り落として、ようやくパッキングが終了。ウェアは下着を含めて着ているもので全部。ブーツの中の靴下さえも、履いているもの一足限りという有様…。これがラリーだ。というと、ちょっと違う気もしますが、いやいや、これもラリーなのです。
<写真 : 治武靖明>
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