今回の北の島はバカジャとかぶってますが…
■もう10年も前のことかな?? 北海道の小清水町というオホーツク沿岸の町で、今は開催されていませんが1周50km程度のコースで行なわれるレースがあって、それにマツモトさんが参加したんですね。ジーエスで。空冷ボクサーツインのBMW R100GS。北海道のクロカンレースにこんなデカイやつでエントリーしたのは、後にも先にも、この時のマツモトさんただひとりです。「はまなすエンデューロin小清水」というイベントだったのですが、ここで参加受付をするひとは、たぶんBMW R100GSというのが、どんなバイクなのか知らなかったのだと思います。知っていたら、きっと「やめなさい」と言っただろうからです。
■記憶によれば、このレースにマツモトさんを誘ったのは、現在BTMに毎月寄稿してくれている"Bの"だったような…。確か、その前年に"Bの"は同大会に出場していて「とてもフラットなコースだから、ビーエムだろうとなんだろうと楽しく走れるハズ」とのこと。確かに、マツモトさんが出場する前年まで、この大会は平均時速70km/hを超えるハイスピードコース「だった」のです。しかし、意気揚揚、マツモトさんがやってきたその年、コースは北海道の他のレースと同様、なかなか険しい山岳コースにと変わっていたのです。それでもまあ、マツモトGSはなんとかかんとかコースを走りきって、完走!! 懐かしい思い出ですね。考えてみれば、今は四国にモンゴルにとそのフィールドを広げているマツモト&GSですが、やってることの根本は変わっていないなぁ。そのパッションもね。
■その小清水の大会の後、どうしても乗ってみたくて、ぼくはマツモトさんのGSを借りて、オホーツクの海が輝く直線道路に出て、スロットルを開けてみました。本当に、このまま旅に出て行くことができそうな、そんなインスピレーションを与えてくれる、フィーリング。長い間思い描いてきた「旅するオートバイ」のイメージがそのまま、股の下で鼓動していて、そしてぼくを青空の彼方まで運んでくれるような、なんともいえない加速感、浮遊感。BMWのロゴマークがそれを表しているということを後になって知り、納得させられましたが、BMWの加速っていうのは、本当にいつか離陸していくような不思議な感触があります。それに低重心の車体を左右にひらりひらりとバンクさせると、まるで旧い時代の戦闘機乗りの気分。エフロクなく、水冷のGSに希薄で、空冷GSだからこそ、ですよね。マツモトさん!!
■マツモトさんが、長年愛用したそのジーエスは、そこでの役割を終えて、次にぼくのところにやってきました。まだロクに使ってやっていないので、惜しみつつ手放しただろうマツモトさんには申し訳なく思っているところ。しかし、いつかぼくのところに来るような気がしていたのも正直な気持ちなんです。このR100GSを船から下ろした時「ずいぶんと長い時間がかかったけど、やっぱりここに来たか…」と思ったものです。これからどんな付き合いになるのか、それはいずれにしても価値のあるものになるだろうと楽しみにしているのです。
ビッグタンクマガジン
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