笑顔の写真
■例年よりも2週間ほど早いかな? とそんなタイミングで寒波がやってきた北海道。今日は真冬日(24時間を通じて最高気温が零下になる日)になるそうです。楽しかったシーズンの終わりに、さて来年の計画を立てているところです。レースのスケジュールをとりまとめ、取材の予定、またプライベートにはどのイベント(エンデューロやクロスカントリーレース)に参加しようかな? ラリーにも出場できるだろうか、予算は?? そして、ニューマシンをどうしようかという算段にもアタマが活発に動いています。アレを誰かに買ってもらって、これを処分して、そしてお金をいつまでにこれぐらい都合して…。アレを買って2年間フルに使ってリセールが…。なんて感じで、みんなと同じでしょ??
■吹雪の中、郵便配達の人がやってきて、郵便受けの口に入らない荷物を手渡してくれました。中にはモンゴルでの記念写真がたくさん入っていました。今年一緒に走った仲間のひとり、F650GSダカールの小林邦之さんからです。一枚一枚を見ていくうち、感動というよりも驚きの気持ちでいっぱいになりました。とにかくみんなが笑顔なのです。それもなんというか普通の「はいチーズ!!」という笑顔ではなく、心底その時間に満足し、自然にみじみでている種類のホンモノの笑顔なんです。で、時間の経過や、その笑顔の持ち主たちのを検証してみました(というより、その時この人どんな状況だったかな? 思い出してみたんです)。
■毎日一番長く走っていたかもしれない山浦さんも笑顔。クラッシュで上位入賞が遠のいて悔しい午後だったはずの岩崎さんの笑顔。ルーフが大きく凹んで、しかもフロントウインドウまで失ったビッグホーンの近藤聡子さんの笑顔はダストで真っ黒!! 明日はもうだめかも…なんていいながらXT400のエンジンを調整するジャルガルサイハンさんの笑顔もやっぱりオイルで真っ黒。みんな身体は疲れて、それぞれのラリーのうちに困難を抱えていながら、それでも自然に顔には充実感がにじみ出てしまうって感じなんですね。ぼくの写真もありましたが、ビバークに戻って、羊の肉をほおばっている写真でした。仲間と寄り添って、やっぱり幸せそうにしています。その日は、転倒、転落、ミスコース=順位ガタ落ちという、ラリー的には最悪の日だったんですけどね。それでも最高に楽しかったみたいですよ。
■ともするとラリーを自分ひとりで走ったように錯覚してしまい、そしてなんというか勝手に自分のなかで、自分主役のラリーレイドモンゴルを架空のスペースに作ってしまいがちなのですが、やはりこうしてみんなの笑顔をみると、みんなで共に、あの砂漠の旅を経験してきたんだな、と改めて思ったりします。そしてラリーがうまくいったひともあまりうまくいかなかった人も、上位を走った人も、リタイア寸前の低空飛行を続けた人にとっても、同じように価値のある輝かしい時間だったんだなと思います。それを証明しているのが、これら写真のなかにある笑顔なんだと思いました。そして小林さんが切り取ったラリーレイドモンゴル2001に、撮影者のやさしい視点も本当に強く感じます。ぼくがレンズを向けても、みんなはこんなに率直な表情をしてくれるだろうか…。そう思うと、ちょっと自信がありません。
■このページの写真はすべて小林邦之さん撮影です。
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