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No.036
2001/04/12

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レゴラリータ!! その4

■2サイクル125cc、2サイクル250ccのマシンといえば、競技用の主力カテゴリーということになりますが、欧州各メーカーのエンデューロモデルからセンタースタンドが次第に消えていったのは最近のハナシではありません。タイヤ交換時には、いわゆるレーシングスタンドを別に持ってこなければならないものの、軽量だし、邪魔にならないサイドスタンドが主流です。しかも、現在のエンデューロシーンではムースの使用が当たり前になっているので、ルート上でのパンク修理を想定する必要もない。新興勢力でありながら、実は意外にトラディショナルな一面を持つtmレーシングも、ついにセンタースタンドを捨ててサイドスタンドになってしまいましたが「tmよオモエモカ…」とは思わず「やっぱりサイドスタンドは便利だよな」と思いつつ、しかしやっぱり「センタースタンドってカッコいいんだけどなぁ」とこだわりを捨てきれないのはぼくだけかな? というより、センタースタンドっていうのはぼくにとって「エンデューロマシン、レゴラリータそのもの」を象徴するアイテムなんですね。HMのCR250ENDUROなんてのは、ホンダのCRがベースなんですが、それもやっぱりセンタースタンドがついていて、その立ち姿がなんともジェントルなイメージ。(もちろんライトはエルバでね)。と、私的かつマニアック過ぎてわからないヒトにはまったくわからない領域に突入していますが…。

■センタースタンドにずいぶんこだわっていますが、実は、このエンデューロマシンにとってのセンタースタンドというのは、単純に機能として必要とされてきたものではなく、実はエンデューロという競技、あるいはまたその楽しまれ方を象徴するものでもあるということをいいたいわけです。例えば仮に舞台を昨年スペインで開催されたISDEとしましょうか。地元スペインのクラブチーム級のライダーが200名は出場しています。毎朝各ライダーのスタートタイムの15分前からワークタイムが与えられ、またパルクフェルメ直前の区間でもおおむね15分程度(程度というのは、あくまでもその区間はタイムキーピングされたルート上だから)のワークタイムがある。ほとんどすべてのライダーがそのワークタイムで前後タイヤを交換するわけですが、そのためには前後輪を浮かせるためのスタンドが必要です。ライダーの数だけ必要というわけではないにしろ、かなりの数です。かつてはみんなのマシンにセンタースタンドがついていたので、そんなものは必要なかったのですが、今のサービスクルーのトランポには大量のセンタースタンドが必要なんですね。毎年大挙してやってくるUSAチームなら、ミニバン一台が全部レーシングスタンドで埋まってしまいます。遠い国からの遠征なら、そんなことはやってられないので、ビールの箱などで代用することになります。もちろんそれでも事足りるのですが…。

■と、これは余談のようなものとはいえ、実は重要な含みがあります。つまり現在のエンデューロは、サポートクルーがいてこそという大前提があるということです。かつて(聞いたハナシですが)は、ヨーロッパの各地からライダーひとりひとりが、小さなバッグに入れた最低限の工具とパーツを縛りつけたマシンにまたがり、そして履いてきたタイヤのまま、6日間を走りきり、そしてまたそれぞれの国へと帰っていった。そんなエンデューロは、今はどこにもない。だから、センタースタンドも必要ない。

■センタースタンドというのは、何にも寄りかからずに自立する姿をマシンに与えます。マシンが自分で立つということ。かつてセンタースタンドですらりと美しく立っていたレゴラリータ、エンデューロマシン。それはマシンを立たせるためのちょっ
としたパーツに過ぎないとはいえ、実は、ライダーとマシンが、何にも頼らず走り続けることができるという、ひとつのプライドを象徴するものでもあったのではないか、とそんな気もするのです。しかし、ま、ぼくが競技に使おうとしているマシンにセンタースタンドがついていたら、すぐにサイドスタンドに取り替えるとは思いますが…。というのも、やっぱりアレ(センタースタンド)は、"かつての"シックスデイズで使ってこそ、その意味を発揮していたのだと思うから。

<キャプション>
10年前はみんなセンタースタンドで立っていたのですが…。(パルクフェルメ/ISDE2000)

■続く…。

 

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