コミッション
■モーターサイクルスポーツの統括団体であるFIM(国際モーターサイクリズム連盟)には、トライアルやロードレース、モトクロス、またレジャー部門などとならんで、エンデューロとクロスカントリーラリーに関するコミッションがあります。コミッションというからには、各方面がこれに関係します。選手の立場を代表するもの、マニュファクチャラー(製造者=メーカー)、マーケットに関係するもの、オーガナイザーやクラブ、プロモーター等々。最近では、環境問題を専門に取り扱うセクションがこれに加わるようになっています。
■エンデューロやクロスカントリーラリーをこれからどうしていこうか。コミッションは、今年もウィーンで開催された会議でいくつかの重要な決定をしました。エンデューロにおいては、これまで2ストローク125cc、2ストローク250cc、4ストローク250cc、4ストローク450cc、4ストローク500ccの5クラス制だった排気量クラスを、2ストローク、4ストロークを統合した3クラス制に変更することを決定しました。また世界選手権エンデューロでは、これまで個人タイトルに加えて、チーム対抗のタイトルを制定することになっています。チュニジアラリーに始まって最終戦のUAEデザートチャレンジまで全7戦が行われるクロスカントリーラリーチャンピオンシップでは、、高速化のリスクを抑制するため、排気量クラスを450cc以下とオーバー450ccの二つに区分することになりました。
■こうした決定は、必ずしもスポーツとしての競技性だけを優先させて行われるものではなく、制定と施行のタイミングも、マーケット全体や業界の動向、一般的社会的状況と連動しています。例えば、現在2ストロークマシンにとってかわって主流となった4ストロークエンデューロマシンですが、エンデューロのコミッションが競技の将来的な4ストローク化を見据えて、世界選手権とISDEの排気量クラスに4ストロークの新しい排気量クラスを制定したのは1997年で施行は1998年でした。しかし、実際にはヨーロッパ選手権、各国の国内選手権ではそれよりも早いタイミングで、新しい排気量クラスを試験的に施行しています。当時、ヨーロッパのメーカーはどこも競争力のある4ストローク250ccマシンを持っていなかったため、日本製マシンの独壇場という状態が続きましたが、それでもエンデューロのコミッションは、4ストロークの将来性、エンデューロというスポーツが環境問題に代表される、新しい社会状況に適応するために、ぜひとも必要な荒療治として、これを断行したわけです。
必ずしも競技性を優先しない、とはいっても、最終的にはこの種のスポーツ全体に貢献する決定を、先見性を持って行わなければならない。それがFIMのコミッションです。
■なんでこんなハナシをするんだハルキは。と思うかもしれませんが、ひとつ伝えたかったのは、一見、どうということもないぼくたちの気軽な日曜日の遊びも、時代の大きな流れのなかにあることには違いないのだということです。
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