オーバーシックスティー
■北海道でエンデューロと名のつくイベントといえば、当時から運転免許が必要なものが多かったわけですから、10代の頃にはレース会場に行けば自分が最年少というのが当たり前でした。それが、ただただ夢中になって遊んでいただけで、いつのまにか中堅どころのもっとも多い年齢層の仲間に入り、そしてどちらかというとベテランの部類に入る(しかしそれでもまだまだ中堅どころですが)ライダーになっている今日この頃です。最近では、練習も「上達のため」というよりは「体調の維持、コンディションづくり」といったニュアンスが強くなっているのが、我知らず感じられたりもする。自分の限界とか、あとどれぐらい乗れるのだろう、などということを意識することも多い。簡単に言えば、ある程度「先が見えてきた」ということにもなるかと思います。
■そこで、がぜん意識されてくるようになったのが、オーバーフィフティー、オーバーシックスティーの現役ライダーたち。そう、菅原義正さん、長谷見昌弘さんの名前が筆頭になるでしょうか、今年も木古内に出ていた浅見清光さんだってもう62歳、石井正美さんはまだ52歳ですが、まだといっていいのか、もうといっていいのか、年齢などまったく意識させない走りは、どのレースでもトップ争いする実力です。スガワラさんの長距離競技への情熱。今年、菅生の2日間エンデューロでは、あの困難なコースをKTMで難なく走りきって、しかもチーム賞まで獲得したのは長谷見さんでしたが、世界を戦ってきたモータースポーツマンが、生涯つきあえるホビーとして2輪競技を選んでいるということを、ぼくたちは誇らしく思えるし、そう感じさせてくれる長谷見さんや、そして菅原さんをはじめとしたオーバー○○選手に強く尊敬の念をおぼえます。
■最近になって、そうしたベテランモータースポーツマンの生き方に興味がわいてきたぼくは、自分たちの出版であるBIGTANKで、なんとかしてこうした人たちの生き方のようなものを紹介する方法がないか、と思案しているところです。長距離の2輪競技に年齢のハンディ(こういっては、彼らに限ってあてはまらないような気もするのですが)が、どれだけ大きなものであるかということを、ぼくらは知っていますが、彼らはそれをあえて求め、そして難なくそれを乗り越え、ホビーとして楽しんでいる。そのヒケツのようなものも、また知りたいと思っています。大きな尊敬の念とともに。
■競技スポーツは表面的には相対評価の遊びですから、彼らの順位は、いつしか次第に下がってきます。いつか、最下位を記録することになる。それは、誰にでもやってくることで、ぼくのような年齢の人間も、小さな波の上下動はあっても、大きな坂を下っていくことに間違いはありません。やがて、ただ消えていくことになるのが、まず、普通の人間でしょう。でも、今ぼくが尊敬する何人かのオーバー○○ライダーたちは、ちょっと違う。目の前立たれると、その存在の大きさに気おされます。それはいったいなんの力なのか、自分にもやがてみにつくのか、あるいは天性ののか、鍛え上げられてえたものなのか、あるいは天然の輝きなのか…、等々、それを知りたいなぁ、という今日この頃であります。
BIGTANK
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