「チャレンジ」
■先週は「747 ジャンボをつくった男」という本を紹介させていただきましたが、その後、もう一度飛行機の中で気になるところを再読していたら、客室乗務員の方に「あ、それはどんなゴホンなんですか? ジャンボの本なんですね。私も探してみます」と、気にとめらめました。乗っていた飛行機は、B767という機種で、ジャンボとは違ったのですが、なんか、航空機マニアと思われたかと、少し照れくさかったです。乗っている飛行機のことなど、これまで気に留めたこともなかった(いや、プロペラ機とジェット機の違いぐらいは気にしますが…)のですが、この「ゴホン」を読んでからは、少しぐらい気になるかもしれません。考えたこともなかったのですが、航空機にも、ホンダやヤマハのようにメーカーというのがあるのだ、と…(アホか)。
■話は変わりますが、最近、ずっと興味があったマシンに試乗する機会がありました。アプリリアのVツインマシン。スタンダードのエンデューロモデル、スーパーモトモデルには以前も乗ったことがあったのですが、どちらもいいマシンでした。Vツインのコンペティションモデルというのは、軽量コンパクトが至上命題のオフロード競技においては、それ自体がとても挑戦的なものです。しかしアプリリアはすでにスーパーモト世界選手権でタイトルを獲得。しかも、昨年は、エンデューロ世界選手権でも優勝する活躍。エンデューロでは、ステェファン・メリマンという、ニュージーランド生まれのオージーが、このマシンに栄光をもたらしました。メリマンは、エンデューロ世界チャンピオンとして、現在、5本の指に入る、あるいは彼をキングオブキングスとする人もいると思いますが、とにかくすごいライダーです。トライアルでもSSDTという6日間競技で上位入賞、ロードレースの経験もあるというすごい人。
■本当にすごいライダーで、だから、Vツインが世界選手権で優勝した、と聞いても、「すごいなアプリリアは」とは正直思いませんでした。「さすがはメリマンだな。どんなマシンでも乗りこなしてしまうんだな!」と思うわけです。いや、多くの人がそう思ったに違いありません。
■写真のマシンは、試乗した「アプリリアRXV450ステェファン・メリマンレプリカ」です。乗った瞬間にびっくりしました。Vツインの重さがない、確かにVツインらしい急激なトルク変動はあるけど、低回転ではものすごい粘り方をしてトラクションもすごい。苦手だろうと思ったトライアルのようなエクストリームセクションでも、思い通りにパワーを引き出せて、軽快に走れる。そして、面白い!!こんなマシンができるんだなぁ。
■「メリマンはすごい」そのことには変わりありません。でも、このマシンを作り、メリマンとともに仕上げていったファクトリーチームも同じようにすごい。メリマンは、経済的な理由あって、世界選手権の一線から退き、オーストラリアのチャンピオンシップに活動の場を移しましたが、メリマンの時代、そしてその最終幕が、アプリリアVツインによる素晴らしいチャレンジであったことは、長く記憶されるでしょう。なによりこのマシンが、メリマンとアプリリアファクトリーチームの偉大な挑戦を雄弁に語っています。
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