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2000/05/16

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12th日石三菱ツールドブルーアイランドより その1

■ぼくがこの連休をどのように過ごしたのか、ということ。もちろん、今年もツールドブルーアイランドに参加してきました。といっても、今回の12th日石三菱ツールドブルーアイランドには選手として参加したのではなく、かといってオフィシャルスタッフとして運営のお手伝いをしたのでもなく、プレス(報道)として取材のために、全日程を同行させていただきのました。昨年は、初めて選手として7日間を走ったのですが、今年はオフィシャルカーに同乗というスタイル。

■これはこれで、ひとつの参加の形態といえそうだ、とラリー途中から思い始めました。というのも、毎日の行動は、選手とほぼ同じか、それよりも少し早く起床。選手とほぼ同時にラリーのルートに入り、完全に同じではないながらも毎日200〜300kmの距離を走る。就寝も別に自分たちだけホテルに泊まるというわけではなく、同じビバークで、時には草の上に、時にはトラックの荷台にシュラフを広げて星空の下、蚊に喰われながら眠る。食事だけは、少し余裕のある時には道ばたの食堂で美味しいものをいただきましたが、大抵はみんなと同じランチパック、そしてビバークの野外食堂の味を楽しむ。

■選手だから、運営スタッフだから、あるいはプレスだからといっても、目的や立場はやや違っても、とにかく前進し、万難を排してフィニッシュを目指すというひとつの法則性のもとに、みんなが行動するわけです。その中で生まれる連帯感や協調、あるいはその協調を土台とした紳士的な競い合いや、自己との戦い。これがいわゆるレイドというものの醍醐味のひとつなんだろうと思いました。そうしたもののエッセンスを、北アフリカやモンゴルといった廣野(荒野とは違う)ではなく、四国というそれほど大きくもなく、無人でもなく、日本における極めて一般的な社会環境のなかで再現できているというのが、ツールドブルーアイランドの面白く、希有なものであると言えることの理由であると思います。

■また、先にも書いたように極めて一般的な社会環境のうえに存在しているというのに、ラリーの仕組みは上手に日常生活との隔絶も演出しています。普段、好きな物を食べ、かつ飲み、快適な寝室で惰眠を貪り、仕事のストレスにさらされているかと思えば、つまらない遊びからもまたストレスを受け、TVからはバカ番組が垂れ流され、いつも雑事に追われている。TBIのビバークには、物質的な贅沢さは何もないけれど、忘れちゃいけない大事な何かが溢れていますね。それが何かということは人それぞれなんでしょう。あえて言うならば、本当に自分が求めているものは何か、そんなことを見つけるための時間・空間がそこにある、という感じがします。

■ぼくは今回、昨年、ライダーとして参加した時以上の忙しさでした。ツーリングマップルでおなじみの昭文社のホームページ、www.mapple.comに毎日2度の更新で、ラリーの様子を中継していたのですが、慣れないモバイル環境に四苦八苦!! 今回はヤマダさんがドライブするオフィシャルカーに同乗させていただいたのですが、ぼくは、通信に使っていた携帯電話の通信状態や、原稿をまとめるタイミングに応じて「ここで止めてくれ」だの「次の街で1時間ストップしてほしい」だのの連日のワガママ言いたい放題。ただでさえ、ラリー運営中は忙しいうえに、極限のストレス過多のはずなのに、表情ひとつかえずにサポートしてくれました。大感謝です。でも、ぼくのワガママはこれだけではありませんでした。「讃岐では絶対ウドンを食べたい」「この酒屋でワインを買いたい」「足がクサクなったから川に降りて洗いたい」。今思うと、ひどいですね。で、念願のウドン賞味を実現してくれたのは、やはりオフィシャルスタッフのひとりであるサイキネンさんでした。

■連日の寝不足に、長距離ドライブの疲れが重なって、ついにヤマダさんもぼくも、これ以上ステアリングを握っていられない、という状態になったラリー後半。クルマをたおやかな吉野川の河原に止めて、1時間ほど仮眠(といってもぼくは青空の下で爆睡)をとりました。暖かな日射しに、吉野川のせせらぎ、そして鳥の声。ひとときの休息は、ぼくにとって今年一番の思い出の一風景になりました。

<写真キャプション>
●吉野川のほとりにクルマをとめて、少しの休息。本当にホッとする時間でした。思い出に残るシーンというのは、実はこんなふうにシンボリックでもなんでもないところにあったりするんですね。

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