2012年の北海道4デイズを終えて。
今年も北海道4デイズが終わり、ぼくにとってのシーズンの前半戦も終了しました。毎年、多くの方々のご協力をいただき、ご迷惑をおかけしながら、なんとか当日を迎えることができます。特にスタート/ゴール地となる地元芦別市、そしてスペシャルステージの開催地となった当麻町、陸別町、日高町の地元自治体、協力団体、クラブの皆様にはひとかたならぬご配慮をいただいています。本当にありがとうございます。これまでも、多くの自治体、関係機関の皆様の深いご理解とご協力によって、北海道4デイズは実現してきました。我々はその寛容さに応えられるような節度、態度を持ち、北海道に歓迎される存在であり続けたいと思います。
本来であれば、このような話は閉会式の場で、みなさんの前でするべきものですが、毎年毎年、あまり上手に話すことができないため、今年は山田さんに、総評は後日ということにさせてほしいとお願いしました。北海道4デイズに複数回出場してくれている方にはわかってもらえるかもしれません。なにより感謝の意を伝えたいのは、ともにこのラリーを作ってくれた仲間たち、そしてともに4日間のラリーに向き合ってくれた選手たちです。それを言葉にするだけで精一杯になってしまうのはどうしてでしょうか。それだけ、このラリーを作ることの喜びが大きく、そして困難であればこそ、やりがいがあるということなのだと思います。そして北海道の素晴らしい大地! 最初の頃こそ、「コース設定が素晴らしいですよ」というお世辞に「そうだろう、そうだろう」と自慢していたものですが、最近では、いやいや素晴らしいのは北海道の大地で、誰がどう作ってもいいものはいいんだ、と思うようになりました。本当です。その中でも、できるだけ競技として充実して、楽しく、北海道の良さが伝わるような設定をしなければならないんですよね。とても難しいことのように最近は思います。
北海道はとても広くて、まだまだアプローチできていないエリアがたくさんあります。特に、道東と道南は、北海道4デイズには未知のエリアです。道南は奥が深く、リエゾンにも時間がかかりすぎるため、しばらくは処女地のままでしょう。来年はおそらく道東のずっと東の果てまでルートを延ばしていくのではないかと思っています。というよりも、目指しています。どんなラリーになるのか、まだイメージはつかめていませんが、チャレンジングであることは間違いありません。チャレンジングである、と言えば、今年のスタートをJR芦別駅前で行なったことも、チャレンジングでした。どうせやるのであれば、市民のみなさんにももっと知っていただいたほうがいいのではないか。それがラリーの存続と発展につながるだろうし、モータースポーツの認知度の向上にもなるばす。それであれば市街の中心部である駅前をスタートしたらどうだろうか、というのは芦別の清澤市長の発案でした。モータースポーツイベントのために、このような空間の占用が認められるのは日本では稀有ではないにしろ簡単なことではありません。こうしたことも契機として、北海道4デイズは、より社会環境と近しく、それゆえの自由を手にしながら発展していくべきではないかと思っています。モーターサイクルの持つダイナミズムを十全にに発揮し、その魅力のすべてを享受することができるイベントでありたいと思います。
堅苦しいことは言いたくないのですが、そのためには、我々モーターサイクルスポーツの愛好家が、一般的な社会環境。生活環境にフィットする外観を持とうとすることも大切だと思っています。例えば排気音量を抑制することは今やもっとも優先して取り組むべきことのひとつです。時に、選手にとっては無駄に厳しく思える規則があるかもしれません。ですが、我々の側が一歩、二歩、がんばって譲ることによって、もっとも肝心な「ありとあらゆる道を走る」という自由が担保されいてくのだと思います。小さなサーキットだけで走るのではない、その気になれば地球上のあらゆるところを走ることができる。それが我々の楽しんでいるモーターサイクルスポーツではないかと思います。それは決して保守の姿勢ではありません。自らの価値観にもアグレッシブに斬り込んでいくこと。バイクってこういうもんだ。そうした既存の価値観にしばられず、本来の自由を求めていくべきです。
謙虚さと積極性の両方を持って、来年も北海道を走らせていただきたいと思います。同志としての皆さんとともに、夏の北海道を狭しとばかりに遊び尽くすこの贅沢! 今から楽しみでなりません。
最後になりましたが、総合優勝に輝いた真田選手をはじめ、フェアプレイでラリーを戦ったすべての選手に賛辞をお送りするとともに敬意を表したいと思います。
また来年!
春木久史
ビッグタンクマガジン http://www.bigtank.jp
|