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No.101
2005/03/31

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クロスカントリー

■cross country言葉を辞書で引けば「田野横断」という訳が出てくるかもしれません。野を越え、山を越え。町を横切り、田舎道を遠くまで走っていく。ぼくはどちらかというと、長距離で、遠くまでの一方通行をイメージします。流れ後方に飛び去っていく景色。一点の目的地に向かって走っていくような…。

■最近、ヨーロッパで流行のクロスカントリーというオートバイ競技は、そんなニュアンスとはちょっと違っています。アメリカで流行しているスタイルのオフロードレーシングの競技形態と、そのなかでももっともメジャーなイベントである「GNCC(グランドナショナルクロスカントリーチャンピオンシップ)」が、そのままヨーロッパに持ち込まれ、「イングリッシュGNCC」とか「スパニッシュGNCC」「イタリアンGNCC」という名称で、人気を集め始めています。このヨーロッパでのクロスカントリーの流行に先鞭をつけたのは、世界選手権エンデューロのチャンピオンにして、90年代後半にアメリカに渡ってGNCCを走ったポール・エドモンドソンでした。この競技形態の可能性にいち早く着目し、母国イギリスに"FAST EDDY CROSS COUNTRY CHAMPIONSHIOP"を立ち上げ、シリーズ戦として開催したのです。

■ヨーロッパ、イギリスではあまり知られていなかったクロスカントリーという競技形態。実は、日本ではもっとも多く開催されている形式のオフロード耐久競技、いわゆる「エンデューロ」です。10km内外の難コースを3時間(ぐらいが多い)という制限時間内めいっぱい走って速さを競うというもの。いわゆるオンタイム+パルクフェルメ式のエンデューロに比較すると、コースは難しく、体力的にもハードな競技。最近、なぜ、これがヨーロッパで流行しているのでしょうか。ヨーロッパでのクロスカントリー人気は、今始まったばかりで、これからますます盛んに開催されるようになるでしょう。業界的にも注目を集めているところで、トップメーカーのKTMは、プロモーションの比重をエンデューロからクロスカントリーにも重きを置くようになり、スターライダーを渡米させGNCCを走らせるなどのアクションを起こしています。

■このクロスカントリー人気は、近年の環境保護機運と密接な関係があるようです。本来の意味でのエンデューロに比較すると、閉鎖されてどうにでもできる環境で開催可能な競技形態です。それでいて「走る」という意味では、充分に走り応えがある。走る環境がどんどん制限されてきた結果、エンデューロが次第にタフさを失ってしまった。そのカウンターアクションとして、ハードなものを求めるという空気もあるようです。クロスカントリーの人気はライダーの走りへと向いた欲求の素直な表れなのだと思います。

■では、クロスカントリーがエンデューロにとって代わるということが起こるかどうか。前者は、オフロードレーシングであり、後者は、競走というよりは、個々の技量に対するテストという意味合いを常に帯びています。1位2位を競うのではなく、与えられたタスクの消化をテーマとします。このふたつのそれぞれの魅力を上手に理解していくことが、今のライダーには求められているんじゃないかと思います。

ビッグタンクマガジン
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