12th日石三菱ツールドブルーアイランドより その2
■前回、この日石三菱ツールドブルーアイランドというものが希有な存在である。ということもちょこっと書きました。そのあたりについて、少し突っ込んで書きたいと思います。なぜ希有であると言うべきなのか、大きな理由のひとつが、日本における公道を利用したイベントの開催が、皆さんもご存じのようにとても難しいものになってきているということです。さらに、それがモータースポーツとなると、二輪・四輪に限らず、それを遊び道具として用いることすら、まだまだ白眼視されているということです。■北海道北見市では行政をあげて、ソーラーカー(太陽エネルギー利用)のラリーがかつては開催されていたのですが、そんなふうに社会的に大きな意義を持つと考えられるものですら、現在は認められず、やむなくクローズドコースでの開催に転換を強いられました。これはちょっと無理解なんじゃないかなぁと思いますが、それが現実なのです。■日石三菱ツールドブルーアイランドでは、モータースポーツ、モーターサイクルの持つある部分での攻撃的なイメージを廃し、ソフトイメージを前面に出す努力をしているように、ぼくは感じています。それは多分、社会的な認識が公道を使っての競技に対し否定的であることを受けて苦肉の策であるのかもしれません。昨年、ぼくはTBIに参加し「なかなかタフでストイックな競技であるな」などと感じて走っていると、街で見かけるTBIのポスターがずいぶんとソフトな感じで「これがぼくの走ってる、このTBIのイメージなのかいな?」と意外に感じたものですが、少し考えてみると、こうした遊びをこの社会環境のなかで実現させるために、ライダーに代わって、オーガナイザーがこうしたイメージ作りを行っているんだな、ということがわかります。■しかし、今後こうしたイベントを継続させ、成熟したものにしていくためには、現在のようにオーガナイザーの意識が先行としてひとり歩きしている状態では無理になってくるはずです。例えば、先の「ソフトなイメージ作り」についても、口の悪い人が「そういうのがなんかオタクっぽくて」なんて言うのも聞きます。が、そのバックグラウンドまできちんと理解するということが、ライダーにはもっとも求められるはずだし、そのうえでの行動規範というものも自らが作っていかなければならないでしょう。それは、イベントに参加する時や、レースを走る時だけ、あるいは公道を走る時だけでも不足です。アメリカの伝統的なデザートレース、バーストゥtoベガスを中止させる時、環境保護団体グリーンピースは「今やこの地球上にモーターサイクルレースを行ってよい場所などどこにもない…」というような声明を出したことをおぼえているでしょうか。一見、無人・不毛の荒野のように思える、モハビ・ネバダの砂漠地帯ですら、そこは自然環境であるというだけではなく、一般的な社会常識が支配するエリアなのです。まして日本・四国であれば状況は、もっともっと切迫しているということを知るべきでしょう。■ライダーには、まだまだそうしたこと認識する努力が欠け、自らの存在意義を主張する言葉も、サバイバルのための武器も持っていないということが言えるような気がします。が、そうしたものをひとつひとつ身につけていかなければ、TBIのようなイベントの将来も厳しい!! またSSERオーガニゼーションにもエデュケイターとしての役割が求められてくるような気もします。もちろん、メディアに関わる人間については当然です。ツールドブルーアイランドの存在は、日本におけるモーターサイクルスポーツの、ひとつの文化指標であるといっても、決して大げさではないと思います。これが成熟したものとして継続していけば、なかなかのもの。その逆であれば、日本の遊びの文化なんてしょせんはそんなモノ。ぼくたちの望みはどっちですか??
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