■モンゴルの4000kmをともに走った愛車が横浜に戻ってきました。8日間というと本当に短い時間ですが、このXR400Rはぼくが今まで乗ってきたどんなマシンよりも愛着のある一台となってしまいしまた。もともと一台のバイクなどという機械に愛着など持つことのない性格なのですが、今回のこの一台だけは特別のように感じます。とはいえ、通関を終えたマシンを北海道から横浜に引き取りに行ったわけではなく、ラリーを共に走り、いろいろな面でぼくたちを支えてくれた池田忠夫メカニックにまたもやご厄介になり、引き取りをお願いしてしまった次第。この作業を終えて、ようやくRRM2001チームBTM-1が解散という感じになりました(そういえばまだ打ち上げパーティをやってないなぁ…)。
■赤茶けた砂埃を洗い流し、洗剤とブラシで丁寧に磨き、そしてワックスで仕上げ。ナビゲーション用の擬装を取り外し、23リットルのビッグタンクを取り外して、メインチューブがあらわになったフレームと、エンジンを洗ってやり、そしてノーマルのタンクを載せ、磨り減ったミシュランのラリータイヤを外してFIMスタンダードのEDタイヤに交換。ファイナルのギアを15×42から、15×48に交換してやると、ぼくのラリー用XR400Rはすっかりエンデューロ仕様に戻りました。製作時には、それなりに時間がかかったつもりだったのだけれど、今になってみるとたったこれだけのことなんですね。なにに苦労したのだろう。と思い出そうとしても、なにが大変だったのか全然思い出すことができません。きっと、大変なことなどなにもなかったということなのでしょう。
■とはいっても、なにしろ初めてのことで、きっと他人が見たら笑うようなこともいろいろとしていたに違いありません。その例のひとつが、ラリー初日からウランバートルのゴールまでずっとシートの後ろにくくりつけられていた、雨ガッパです。南の乾燥地帯がメインということで、雨には一度も降られなかったのですが「もし雨が降ったら寒くて大変だ!!」と心配して、ずっと積み込んだままでした。地元モンゴルのライダーは、もちろんカッパなど持って走っていません。地元の人がいらないというのだから、やっぱりそれは必要なかったんだと思います。それから、リアフェンダーの上に取り付けられた小さなバッグを開けてびっくりしました。まあ、携帯用の空気入れやタイヤレバー、チューブは普通だと思いますが、ぼくのバッグからはもっといろいろなものが出てきました。まずクラッチディスク一式。スタートしたらゴールまで(給油時を除いては)一度もエンジンを止めないようなコースなのに、そんなものが必要? 驚いたことに予備のCDIユニット、予備のイグニッションコイルまで入っていました。予備のピストンが出てこなくてよかったです。まったく。
■その他、ウエストバッグには予備のICO用パルスセンサーなとが、チェーンのジョイントなど常識的なスペアパーツのほかに用意されているところなど、「用意周到」というよりは「杞憂」といったほうが正解。スタート前のぼくのエキサイトぶりがうかがえます。しかし、こんなふうに「常識を超えた」スペアパーツをわざわざ用意するにもちゃんと本人なりの理由というものがあるわけです。雨カッパにしろ、雨の大草原で苦労したハナシを聞いたことがあるから大切に持ち歩く、クラッチディスク、CDI、イグニッションコイルも、どこかでそうしたトラブルの例を聞いたことがあるから持っているんでしょうね。きっと。もちろん、そのうちのどれも一度も活躍することはありませんでした。まさしく杞憂。そんなところが壊れるのではないかと心配するよりも、ネジの緩みのひとつでも点検するほうが、まあ、ずっとマシだということは、理屈ではわかってるんですけどね…。
●写真 / カッパを積んでいるのが見えるでしょうか。しかもポカリスウェットのペットボトルまで!!
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