「草原からの使者」
なぜだか試走に持っていく本の中に浅田次郎「草原からの使者」というのが混ざっていた。 浅田次郎は、「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」「中元の虹」と「終わらざる夏」を読んだ。清朝末期の動乱が面白く興味深い。これを読んでなければNスペの「故宮」に彼が登場してくる意味が分からない人が多いかもしれない。
ともかく、間違いなく面白かった。 「終わらざる夏」は終戦に向かう千島列島の最北端に残された帝国陸軍の最精鋭部隊の姿を、さまざまな問題を通して描いたこれまた大作だ。
だから「草原からの。。」は短編集。ボクは試走中の本は軽妙なものではなくてガッツリ系(普段読めないような)のがいいなあとガルシア・マルケスなどを携えていたというのに。以前はカフカやカミュなんかを読んでたから、余計にややこしく(ルートがね)なってたんだ、
昭和48年。ボクは18歳。その年の日本ダービーで歴史的な大番狂わせがあったのは知っている。全く競馬などに興味がなくても当時はハイセイコーの名前を知らないものはいなかった。松田聖子と掛けているのかと思ってた人も多いだろう。 ボクもそうだもの。 1973年5月27日。東京競馬場が揺れた。のだそうだ。 (ボクは競馬に全く無知であるからしてこのあとの間違いは許して)
勝負ごとに絶対はない!という言葉がこのあとのニュースで語られていたが、圧倒的一番人気のハイセイコーが、9番とか12番人気の馬に敗れるというだけの事だ。だからまあ日本がW杯で優勝する!ということだってあるだろうと日本人は思ったのだし。
この「草原からの使者」という短編集に収められた1篇としての「草原からの使者」を読んでみると良い。ボクはそれを偶然モンゴルで読んだ。
モンゴルから来た、ひとりの老人がその朝の出走前の馬の姿を見て、(9番人気の)馬を指をさして「ネグ」、そして(12番人気)の馬を指して「ホイル」と呼んだ。 いわゆるモンゴル語での1-2のことだ。
主人公は、それを買って億の馬券を当てたという話だが。モンゴルの草原のテントの中でそれを読んだぼくは飛び上がりそうになるくらい驚いた。いましがたまで、遊牧民の老人がテントにやって来て長い時間ムッホと話し込んでたからだ。
ムッホに 「なんの話してた?」 と聞くと 「別に、馬の話かな。。」 なんて言ってた。数千年も馬と暮らしてきた遊牧民には、おそらく馬に対する思いは違うんだろうなあ、なんてシュラフに潜り込んで読み始めたからだった。
それではモンゴルの草原で。 その前に北海道があったね。
きょうの一枚
1973年といえばBMW R90Sが発売されて話題を呼んだ。。後年これを手に入れてしばらく乗っていたころがあるなあ。
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