「ラリーモンゴリア試走レポートその1」
今年のルートに挑むのは、実は参加者たちだけではなく、まずボクタチ試走チームなのだ。5月26日夜にウランバートルにつくや明早朝にはウランバートルを出発する。この早業が、ここのところのボクのウリだ。
そして全長3500km超のルートを、1日300km(これが実に難しい。)約14日間で走破しルートブック(コマ地図)を作成しルートのGPSのログを拾うのが主な仕事になる。これを完璧にこなすのはいくつかの課題がラリーのように絡み合う。
まずはマシンの問題だ。完璧で壊れないマシンとスペアパーツ。マシンは何もクルマのことだけではない。テラトリップやマップツインといった測距器やGPS機器などのことだ。 とりあえずこの3つが最後まで安定していれば、何とかなる。 しかし今回はクルマを3度も取り替えた。 1台目はエンジン不調。2台目は新品のクラッチが、砂の中で滑り始めていた。 やっと3台目のパトロール中東仕様で納得。 2度もウランバートルからクルマを夜のうちに呼んで、朝起きてクルマを乗り換えてスタートするというセレブぶり。ただし補正は厳密にとりましたんで。。。
クルマの次は人間の身体だ。つまり食事と快適な睡眠。そしてチームワークのことだ。 さらに、かなりハードな精神力とサービス精神が要求される。
問題はそのサービス精神で、この山の上の風景を見せてやろう!なんて考えるほどにルートの難易度は上がる。つまりサービス精神の高さは難易度に直結する。
そして最大に必要なものは「情熱」と「表現力」だろうと思っている。 それらの意味を総合しても今大会のルートは、素晴らしい出来栄えだと自画自賛している。何度も何度も出場した参加者らに瞠目の景観をお見せできると断言できるし、思いがけない困難を強いる場面もたびたび出てくるだろう。
ときにふと「ここはタンバクンダか?」と思わせるようなダカールのオールドファンには懐かしい風景が出てくる。約束していた湖に浮かぶ砂丘地帯は、水位が急激に下がってしまったので望めなくなったもののその干上がった湖底のデューンの袋小路を彷徨うことにもなる。
大きな4000m峰を有するボグド山脈はアルタイ山系。狭隘な谷をいくつも詰めることになるが驚きはそこにもある。一つの谷は氷で閉ざされていて、いちかばちかのアタックを試みた。何とか抜けられた。もう一つは谷には氷が張り詰め青い光が満ちていて、氷の底に水が流れていることが確認できた。さすがにここは「行くな」と、迂回路を取った。
平均標高もいつになく高い。ひょっとしたら、2000mを超えているのではないだろうか。 今回は吹雪の中、厚い氷や雪の中を超えて行った。 まさに美しい風景や、20年近いこうした旅の中でも初めて出会う景観やピストに感動しきりだった。
ルートには様々な性格が表れる。 後年「そうか、あの年の大会に出ていたのか・・・」そう言われる大会にしたいと、毎年そう思っているからいまだに進化できているのではあるまいかと自負している。とにかく2012年、これまでになかったルートとそのコーディネイションを楽しみにしていただいてよいと。
きょうの一枚
積雪地帯はピストが良く見なかった。標高2300mに降りてくると、緑のじゅうたんと雪が見事なコントラストだった、今日はこのあたりでキャンプをするか!とクルマを止めた。
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