「ラリーモンゴリア雑感の続き。そうそう、七沢温泉」
ここのところ舌戦もいっそうの、モンゴルジムニー対決。 口汚くののしりあうと言うのはまるで同じバスで移動する仲良しの格闘技のリング上のよう。
先にゴールするとうれしいけど10分も経つ頃から心配で心配でたまらなくなるおふたり。 「大丈夫かなあ。何かあったかなあ。」 これほど闘志むき出しなのに、競い合う相手を労りあう人を見たことが無い。 なのにそこへ帰ってくると、 「何だ、帰ってきたのか。崖から落ちてればいいのに。」 崖なんかないのですが・・・ そんな言葉を掛け合います。 横で見てると「ドキッ」とするほどですが。
しかしそれにしても、こうした友を得られたのは人生の中でも僥倖というよりほかは無いでしょう。ほかのジムニーも割って入れないほどの二人の蜜月ぶり。よしんばそんな人がでてくればきっと二人は1.カン無視2.二人が共同してやっつけてしまう、かのどちらかでしょう。
ふたりとものジムニーのクロスカントリーラリーマシンはほぼ完成域にあって、そして更なる進化をやめようとはしません。恐るべきスピリットです。
ところがこの勝負は、最後は七沢温泉の貸切という罰ゲームが待っています。温泉旅館でドンちゃん騒ぎを、負けた側の全額負担でやらなければならないのです。いやいや、負けるわけにはいきませんねえ。
そこで少しレースの中身を分析することに。
手許にプリントアウトしたモンゴルのリザルトを。
ETAP-1、初日のSS248.99km・・・まず尾上さんが3時間47分27秒で、菅原さん3時間48分34秒。その差はたったの1分。スタート順位は菅原さんが1分前だから尾上さんはほぼ同時にゴールしたことになるんですね。「一緒に走ろう」と約束してもこうは行かないものです。
つまり250kmかかって1分前にスタートした前車に追いついたという構図。これでマシンの性能差は互角だということが解ります。 後で菅原さんに聞くと 「尾上さんは常に全開で走っているから壊れるよ。」 と言いますが、上空から見ていると 「そうすか?」 な感じ。
では勝負はどこで分かれるか? ナビの勝負か、またはマシントラブルの有無による勝負と見るべきでしょうかねえ。 1日目はナビにもマシンにも案外易しかったでしょう。 ナビの力がでるのは翌日エタップ2、砂漠の中のルートファインディング。
ETAP-2は476.57kmのややロングステージと砂丘。 そしてここでスガワラさん、得意の砂丘の出現に 「前半の勝負どころ」 と読んだわけです。夜のビバークでも姿が見えないようで、きっとルートブック と睨めっこか!?と思いきや本部ゲルでビール飲み飲み世間話中! 「???」 そして翌日のこのSSは9時間10分52秒の21位でフィニッシュ。さすがです。尾上さんは10時間34分31秒の29位。
スガワラさんの目論見どおり?1時間20分の大差がついてしまいました。
クロスカントリーラリーでの1時間や2時間の差は、前半で言えばさほどの問題ではありません。ところがこの人(スガワラサン)と戦わなければならない尾上さんにしてみたら、余人には計り知れないほどの不気味なプレッシャー。のどが渇き余分にビールを飲むのさえ、妖術にかかっているかのようです。
ナビの石原さんは、この砂丘の中を深読みしすぎたようです。
そしてこの時間差は、このあと目に見えない負荷を尾上さんにかけるからスガワラさんは、天をもあやつる妖術使いと言われるゆえんになります。
とまあところでこの調子で書き続けると、どんどん長くなるので今日はこのあたりで・・・。みなさん、お近くの妖術使いにはくれぐれもご注意を。
続く
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