「困難を道しるべに・・・」
FA-coat Rally Mongolia 2012、終了いたしました。ご支援を賜りました各位に心より御礼を申し上げます。
1995年よりはじまったこのクロスカントリーラリーも、おおかた20年の歳月を重ねてきました。様々な時代の変化、なにより世紀も変わりました。また発展著しいモンゴルを定点観測をしているような感じさえします。発展は時に様々なゆがみを生みます。実はそれもまた魅力でもあります。
今大会は練りに練った屈指の難コースを組み合わせた、3600km超のタフなものでした。毎日500kmを超えるSSの連続は、圧巻!のはずでした。。。
ところが60年ぶりの雨がモンゴル全土を水浸しにしてしまいました。 1日目は3000mのスガワラ峠越えのステージをさらに難易度を高めハンガイの懐深く入り込むもの。試走隊も積雪でピストが見えないばかりか、思いがけない寒さに震えながら、それでもあまりもの美しさに息を呑みながらの日々でした。本番では雪と雨は峠を越えるルートを登坂不能なものに変えてしまい、ピストは流されナビゲーションは困難だと判断せざるを得なくなりました。やむなく別ルートをリエゾン、タイムアロウド11時間で650kmを移動するものになりました。
2日目は予定通りのロングステージ!と思ったのですが「川の増水が水深2m!!」前々走車のレポートに「・・・」しかも予定のビバーク地には到達不能。。。。。今回最大の山場の一つだった湖に浮かぶデューン。。を越えるルート。。。。諦めるのも簡単ではありませんが、ビバークの変更とルート変更はさらに難しいものでした。はるか数百キロも離れたビバークをコントロールしなければなりません。
しかし何とか難問をクリアしたものの、ピスト上には湖が出現。RCPはローリーなどの到達が困難か?とヘリにコントロールフラッグを積み込んで飛び立ちました。そうしてこのステージは勝敗の行方を左右するような大きな出来事が続きます。
3日目は、もっとも時間をかけて作り上げたイヒボグドの山塊を1周するループコース。ボクの自信作であり自慢のルートです。。ところが!そもそもルートブックのスタート地点であるビバークへ行くことができません。午後早く調査に向かわせたチームも、6時間もかけて20kmを進めないというありさま。万事休すでした。「ETAP3は全面キャンセルにする。」これも苦渋の決断。すでに今大会に仕込んだ3つから4つのハイライトシーンをキャンセルせざるを得ないという状況。あのものすごく高いモチベーションで臨んだ試走の成果が音を立てて崩れていく・・・そんな思いはこの20年ではじめてのものでした。
それでも変更なったビバークは、思いがけず美しく印象的なものとなりました。夕日が染め上げるボグド山の岩肌の陰翳と、オログ湖の美しさを「モンゴル大会はじまって屈指の美しいビバークだなあ。。」と少しだけ心を回復することができました。助けられたような気になりました。ということで気を取り直してETAP4はあのゾーモットへ向かうニュールート、ここはドライレイクが連続する頭の痛いルート・・・・。
こうして前半を振り返っただけでも、さまざまな心の動きと決断とアジャストメント、なかなか一筋縄ではいかないものでした。ラリーを完遂させることに最も苦心した大会となりました。後半の模様もまた書きますね。
いまウランバートルは、思いがけない秋冷に震えています。
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