「草原とゴビハイウェイが奏でる交響詩」
モンゴルの試走とは、なにかこうさまざまな要素を組み合わせ、不要なものをそぎ落とし組み上げていく交響詩を作曲しているのに似ている。またはそれが現代の冒険行にも通じているのかと思う。
日々の暮らしは、なんとも複雑なのに、自身の身を守るという観念は他人に委ねている。だからすぐに文句を言うし、それで済む。道路に穴でも開いてて落ちでもすれば、言っていく先はいくつもありそうだ。しかしここでは、それに気がつかないとか、察知できないのは敗北に近い。
そんな試走の旅オデッセイは都市生活の余分なものは何一ついらない。
最近では1か月かけなくなったけど、必要なものは少ない。
なにが必要かというと
なんとかゴールまで持ちそうなクルマとそのスペアタイヤ、あと少しのパーツと工具。テラトリップとそのスペアパーツ、最低限のキャンプ用具。(その辺りのオートキャンパーのほうが装備は遥かにボクタチをしのいでいる。) そしてGPS2台と、コマ地図のベース用紙に、シャーペンと消しゴム。 これは絶対に譲れない。鉛筆と消しゴムだ。 そして、心の中でいつも占う。 このシャーペン、最後まで無くならずにずっとあった時は、良いルートが出来る!!・・・ちなみに今年は最後まで1本のペンで(途中シートの下に1日くらいはありましたが・・・)書き終えた。だからまあまあの良いルートが出来上がってるはずだ。
写真のように、左側のような手書きのルートブックがシャーペンと消しゴムで出来上がる。 1ETAPで1冊出来る。 それを書き写して清書したのが右の一群。 これはETAP3だから、ボクは少なくとも3日目までは書き終えてるというのが分かるね。 (清書は1日1エタップで進んでいて・・・)
そして叙事詩に憑かれたボクは、なんとコマ地図の上の段。本来なら出発地と目 的地を書くところに地名の表記を止めてしまった。
ちなみにこのETAP3にはなんて書いたかというと 「Gobi High Way Mirage Express」 陽炎を全速力で追っかけてた!という意味だ。(と思ってもらえればいい) 久しぶりに大平原に広がる陽炎と遊んだ。さらに次の日は、ゴビハイウェイももっと広がる。
緑なす草原と、これらのハイスピードのピストを行き来するのが今回のルートの特徴だ。
話は変わる。
試走をしながら、韻文のオデュッセイアを考えていた。 なかなか難しいけど、面白い。
昔は漢詩を考えていたなあ。 篠ちゃんと良く、試走中に漢詩を作ってた。
カミオンを見ていると、やっぱ漢詩よりは叙事詩が似合うなあ。 と考えて、コマ地図の紙にメモがしてあった。
遥か彼方から、土を逆巻き、もうもうたる煙を上げて押し寄せるチンギスハーンの大群をカミオンからイメージしたのか。
みはるかす 果てよりかかる 黒雲のごと 風を呼び いま襲い来る
雷鳴は とどろきわたれ 陽もかしぎ 天地(あめつち)叫び 闇に覆われよ 神々は 4つの輪を抱き 雲と陽と 草原におり 咆哮を巻く
このあたりから先は読めないけど。 試走中は、こうしてなんか考えるんだなあ。
旅が人に必要なのは、こうした考える機会を得るからなんだろうと思うだなあ。
可愛い子には旅をさせ、ではなく、自分が可愛ければ旅に出ろ。だなあ。
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