「おわーっ!ここかよ!!」
ワイドショーで見た時に「靖国通り沿いかな!?」とは思っていた。
8月には日差しの強い"南の島"へバカンスに行くので、下焼きでもするか...と、新宿・歌舞伎町にある日焼けサロンへバイクで向かった。だがバイクを止める場所に苦労した。そう、今歌舞伎町内は車に限らず、バイク・自転車の駐輪がキビしく取り締まられているのだ。。。
「ない、ない、ない。」
バイクを止める場所をグルグル捜して、結局靖国通りへ出てしまった。
「おっ!あった!!」歩道沿いに無理矢理止められる場所発見!
バイクを止めて降りると、そこには見慣れた"お兄ちゃん"のカンバンが...。
そう「ちゃんこダイニング・若」の目の前だったのだ。
習性なのか、TVカメラが付近にいないコトを確認する。TVカメラがいると、後でややこしい。靖国通りにもロケバスや、中継車がいないコトを確認し、「よし!止めちゃえ!」と駐輪を決めた。
せっかくだから...とバックからカメラを取り出してパチリ。なんかミーハーっぽくって、いやに恥ずかしかったボクでした。
■「タイで発見!? スパ太郎の
実録・盗難バイク奪還劇!!」
(7ヶ月に渡る バイク奪還までのドキュメンタリ)
=前回までのあらすじ=
2ヶ月の間に合計3台バイクが盗まれ、自力での捜索活動を開始してから5ヵ月ちょっと。盗まれたバイクがタイ北部のチェンマイのバイク屋に並んでいるというじゃないか...。チェンマイに乗り込みバイク屋の前を通過すると確かに見慣れたBAJAがあるじゃないか!!
第20話『あれは、オレのバイクか!?』の巻き
「BAJAは1台しかなかった気がしますね」
『オレも1台しか見えなかった』
『撮影できた?』
『バッチリよ!』
「もう1回店の前通れますか?」
『もう1回見てみよう!』
BAJAが売られている店の前を通過するとロケバスの中は、色々な声が飛び交った。
始めのKiyoさんの情報では、オレンジ/シルバーのBAJAが2台展示されていて、その1台がボクの車台番号と一致。ピカピカの日本のバイクが沢山展示されている中で、ボクの目にもオレンジ/シルバーのBAJAは、1台しか確認できなかった。『店の奥に置いてある可能性もあるからね』とKiyoさんが言う。
チェンマイの街は一辺が2kmはあるだろうか?旧市街が大きな正方形の堀で囲まれている。そのバイク屋は正方形の角の、堀の外側にあった。堀沿いを進み、途中で右折し堀の反対側をとおり、ぐるっとまわってもう一度バイク屋に向かう。
タイ人の運転手に、もっとゆっくりと通過するように指示したので、店近くになるとグッとスピードが落ちた。今度はよく見える。一瞬の店の前の通過ではあったが、スローモーションのように見えた。店の従業員が数名。一人は奥で電話。一人はマジェスティをバラして、一人はシャドーを磨いて、その横でお客らしい人と話しこんでいる従業員もいる。アフリカツイン、ドラックスター、マジェスティー、シャドー、XR、XLRが並ぶ中、オレンジ/シルバーのBAJAは1台しか無い。そのBAJAには後付けの白い大きなハンドガードが見えるのはボクのバイクと特徴が一致する。
んー、でもナゼかしっくりとこないのだ。
「あれは、オレのバイクか?」
「もう1台のBAJAはドコに行っちゃったの???」
今すぐ、車を降りて確かめに行きたいボクの心情とは逆に、『店ももう終わりの時間なので、やはり明日改めて出直しましょう!』と、スタッフが言う。もうすぐ暗くなるし、照明機材も持ってきてないから...というのだ。タイでの滞在期間が限られているのに、どうしてこう、俊敏さに欠けるのだろう。
既にスタッフ達は車の中で今夜街に繰り出す話で盛り上がっている。当事者であるボク目線では緊張感がなさすぎるように感じてしまうのだ...。
結局一度ホテルへと戻り、1時間ほど休憩した後に、チェンマイに住むKiyoさんも1度しか来たこと無い...という、高級中華料理の店で食事をした。ここで改めて今回行動を共にするスタッフと顔合わせ...になった。日本から一緒に来たディレクターと、カメラマン。タイ在住の日本人コーディネーターは通訳も兼ねる。タイ人スタッフが3名。どうやらこの方達はタイ警察の人達らしい。2人は地元チェンマイの警察官らしく、一人はさっき運転していた人で、もう一人はその上司。そしてもう一人はバンコクから来た人。この方は若いが、どうやら警察本部の幹部クラスのひとらしい。しかも日本に留学をしていたコトもあって日本語はペラペラだ。
ここでディレクター、通訳兼・コーディネーターから今回のバイク奪還ロケの大まかな作戦が発表された。
今回あくまでもバイクを取り戻すのはボクだ。通訳スタッフとディレクター、カメラマンは日本から来たボクのバイク仲間という設定。だから基本的にカメラは隠しカメラで撮影する。日本語ペラペラの警察官は収録するワイヤレスマイクを通してボクらの会話をキャッチ。地元を知り尽くしたチェンマイの警察官と共に、万一キケンが迫った時には、拳銃や武器を持った警察官3人がガードしてくれる...という手はずらしい。
昨日の夜と今日の午前中、番組スタッフ達は、タイ警察へ協力のネマワシにまわっていた...とうワケだ。だから接待の意味もあって、このような高級料理店へ来たのだ。
Kiyoさんは日中の行動も手伝える時は手伝ってもらい、夜には合流してその日の報告とアドバイスをしてくれることになった。
さてさて、話は今日見たバイク屋の話になる。2台あったハズのBAJAが、何でバイクが1台しかないのか...?Kiyoさん曰く、『ここ数日は1台しか見てない...』というのだ。売り物のバイクでも、従業員の足になっているらしい。店の裏にも工場があるからそこにあるのか、もう売れてしまったか...のどれか。
でも店にあったBAJAには、ボクのBAJAと共通する後付のパーツもあった。
『そんなのオフ車乗りなら誰でもつけてるでしょ!?』
「そりゃそうだ!!」
『元々2台同じ型のバイクがあったんだから、パーツが入れ替わっている可能性もあるし』
「そりゃそうだ!!」
『まっ、明日全てがわかるよ!!』
そう、あとは2つに1つ。
ボクのか、ボクのじゃないのか。
もう、神様に祈るしかない。
「今日見たBAJAが、ボクのバイクであります様に...!!」
「そして、バイクを無事取り戻せます様に...!!」
食事後、チェンマイの街に走るバイクを見に行った。シルバー/オレンジのBAJAが走っているかもしれない。日本車はチェンマイ在住の外国人が乗る可能性が高いらしく、外国人が集まるBarやクラブを中心に捜索をしたが、結局成果無し。
「あぁ! あれは、オレのバイクか!?」
『まっ、明日全てがわかるよ!!』Kiyoさんの言葉が、オウム返しのように耳に残る。
あぁ、今夜も眠れない...。
=つづく= |