暑い暑い!!
急にここ1週間程、カンカン照りになって、都内のバイク移動は暑い!
直射日光よりも、アスファルトの照り返し、渋滞した車のエンジンからの熱、ビルから吹き出るエアコンの温風が暑いのだ。だから首都高速の下を走っていても、アンダーパスのトンネルを走っていても暑い暑い!
熱風が吹き付ける。
正に東京熱風地獄だ!
環八のトンネル内の大渋滞でも、汗がダラダラと流れ出る。バイクに貼り付けた温度計が43度を表示していた。家に汗だくで戻ってきて、キンキンに冷えたエアコンをつけて原稿を書く。
♪ポンポンポンポン♪
「杉並区から光化学スモッグ注意報発生のお知らせです...」と、今日も放送が入った。
行ったコトないけど、モンゴルとどっちが暑いのかな?
■「タイで発見!? スパ太郎の 実録・盗難バイク奪還劇!!」
(7ヶ月に渡る バイク奪還までのドキュメンタリ)
=前回までのあらすじ=
2ヶ月の間に合計3台バイクが盗まれた...! 捜索活動を開始して数ヵ月後、
そのうちの1台がタイで発見された!チェンマイという街のバイク屋に並んでい
る・・・という情報だ。タイヘンだ!!! 早くしないと売れちゃうヨ!!
第17話 『タイへ自力で乗り込む決意!』の巻き
所轄の警察、警視庁の本庁、警察庁と違って、タイ大使館ではとても親身になって対応してくれた。なんでも、盗まれたバイクが、タイで走っている...という目撃情報は、ボクだけじゃないらしいのだ。
それに、日本で盗まれたBMW(車種はわかりません)を発見し、タイでの所有者から地元警察が一時的に押収。タイで裁判をしている日本人がいるのだそうだ。
実はコレ、他の番組が仕掛けた話。
タイのコーディネーターから盗難バイクの情報が入り、番組になったのだ。「あなたのバイクがタイにありますよ!
タイでそのバイクを見てみませんか!?」っていう話だ。日本でのオドロキの表情と、実際にタイで愛車と対面する感動的な場面を番組が撮影しておしまい。
テレビ屋のすることなんて、番組なんてそんなもんだ。その後は、その被害者が自力で取り戻す努力をしている...というウワサを聞いたコトがあった。
タイ大使館の方曰く『その方も、どちらに所有権があるのかで揉めていて、裁判もそうとう大変らしいですよ!』
じゃ、ボクはどう取り戻したらいいのか......?
「タイへは行く気持ちはあるんですけど、イマイチ何をどうしたらいいか、良くわからなくって...」
『それじゃあとにかく、近藤さんの所有物であったという証拠を沢山持ってタイへ行くことですね』
第1に、
バイクの写真、バイクと自分が写っている写真、登録証から保険証書まで、自分が持っている、ありとあらゆる自分のバイクである証拠の品を用意するコトを告げられた。
第2に、
日本の警察へ頼んで、その車両の盗難届けを出したという証明書を発行して貰う。それが、"自己所有物が盗まれた!"という正式な証明書類となるのだそうだ。
そして第3に、
それらの証拠品の数々を持って、チェンマイの警察に訴え出る......という手はずだ!
「いや、でもボク、タイ語はおろか、英語だって全く話せないんですよ...」『じゃ、日本領事館に日本の警察官が1名だけ、常時待機しているんで、その方に相談してみては如何ですか?』
なるほど・・・。
またまた現地にいるKiyoさんや、サワディさんにも、新たに得た情報を元に相談。
2人とも口を揃えて
『日本領事館が動いてくれるとは思えないなー』というのだ。なぜなら、現地で発生する事件や事故など、もっと人命に関わるコトで忙しく、盗難事件ぐらいでは動かないんじゃないと言うのだ。『タイにいる日本人が盗難被害にあっても、いちいち日本領事館が犯人探しまでしてくれないのと一緒だよ!』
そうか・・・。
『タイ警察だって、そんな日本で起こった盗難事件のコト持ち込まれたってめんどくさがるよ。自力で取り戻すぐらいの気合で来なきゃ取り戻せないヨ!』
そうか・・・。やっぱり。
例のずっと追いかけてくれていた番組取材チームから「タイへ行くなら同行する」と連絡が入った。コレはボクにとっては朗報だ!
番組スタッフとは言えど、一人で行くワケじゃ無いのだ!番組スタッフとも相談した結果、「店にバイクがあるのだ。バイク屋に乗り込んで、自分で取り戻す!」っていうコトで結論が出た!
それが一番手っ取り早い。日本領事館ルートは、それでもダメな時。
タイで見つかった車両は1台だが、希望もプラスして、盗まれたバイク3台分のありとあらゆる写真や書類を準備した。
ココでてこずったのは、またもや警察だ。『盗難届けなる証明書!?
そんな書類は無い!』と言うのだ。例の警察庁の国際2課へ相談すると『いやいや、盗難届けを出した警察署で出してもらえる筈』と言うじゃないか!
もう一度、所轄の警察署で書類を請求すると、またまた『そんな書類は無い!』の一点張り。警察庁からも言われているコトを話すと、お偉方が出てきて困惑顔。奥から更に偉そうな人が出てきて、『おう!スパ太郎君じゃないか!』副所長だ。2輪車講習などのゲストで呼ばれた時に、顔なじみになったのだ。事情を説明すると、おエライ事務担当者を呼びつけ
『書類あるだろ! 書いてやれよ!』と命令し、奥の部屋へ案内された。
副所長と一緒に高級せんべいを食いながら、高級玉露茶を飲んでいると、おエライ事務担当者がちょちょいと書いた書類が出来上がってきた。
『ですが副所長、これに所長の印鑑が必要なんですが、ただ今所長は留守なんです』
『大丈夫だよ!』
副所長が所長のデスクに行き、大きなデスクの上にある印鑑を"ボン!"と押して、おしまい。
「なんだよ!簡単に出来るじゃないか!!」
準備した書類を番組スタッフに渡して3日もすると、警察の書類、登録証、保険証の書式などそのままに、全てタイ語訳の書類も出来上がっていた。さすが番組の力、すばやさだ。
タイでの取材は、どんな危険が伴うかわからない。東南アジアの闇組織にたけたディレクターを中心に、新しい番組クルーが編成された。何度にも渡る「バイク奪還計画会議」が行われ、いよいよタイに行く事になった。Kiyoさんからの、一報メールが来てから、数週間たってしまった。
日本を発つ前日、Kiyoさんに電話を入れる。
『来るのが遅いよ! 3、4日前からバイク屋に並んでた1台が無いぞ!
1台売れた可能性が高いぞ!』
「えっ!? ボクのですかね?」
『わからないな。あした自分の目で確かめればわかるよ』
ちょっと心配だが、いよいよタイへ向かう。
日本で盗まれたバイクが、タイにある。ホント信じられない話だが、ホントのバイク奪還劇は、いよいよこれから始るのだ!!
=つづく=
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