トゥアレグラリーへ行こうその12
Day4
今日のコマ図にはキングステージと書いてあります。ループコースで1~4ステージがあって、各ステージのスタートゴールはホテルです。200kmデューンのみ。地図には山がたくさん書いてあるところに矢印があるだけなのでどこを走っていいんだかわからなそうです。
朝起きたらメカニックはまだ修理中でした。ピストンが割れていてリングは粉砕されていました。モロッコのガソリンは時々粗悪なものがあるらしく、見事当たりくじを引いてしまったようです。エンジンはヘッドを組めば終わりなんだけどもう少し時間がかかるようです。同じ携行缶からガソリンを入れたトーマスのピストンはもっと激しく割れています。こちらも修理中。スタートまで数時間あるのでご飯を食べて準備を始めることにしました。スタート15分前、私のバイクが完成しました。今度はトーマスのバイクにメカニック全員でかかります。スタートの5分前にトーマスのバイクのエンジンもかかりました。今日も走れるというのはうれしいことです。
事前のバタバタでマップを見ていなかったので最初のうちは集団についていきました。今日のデューンは最初からサイズがでかいです。標高が10mはありそう。その辺りで埋まっている人、多数です。私はというとぜんぜん自信がないので山を越えては止まって次の山の一番低い辺りを探して次の山を越えての繰り返し。そんなことしているものだからあっという間にビリです。
CPは5キロから10キロおきにあります。GPSポイントも5kmおきくらい。地図に大きいデューンの間などのコメントが添えられていてGPSばかりを見ていると、とてつもなく大きいデューンに突撃することになったりします。
砂丘をまともに走ったのは初めてだけど、山の先端でアクセルを早く戻しすぎるとデューンの頭でスタックしてやり直しで下まで下らなければならない。逆に遅いと運がよければ助かるけど大体は前転が待っています。おまけにここの辺りは先のとがったデューンがたくさんです。それに加えて模様の有り無しをちゃんと見なければいけません。模様がある面は硬くて舗装路のようだけど模様なしのとこはフカフカのことが多いようです。
フカフカ+急な上り坂=刺さる
これ、大事な方程式みたいです。それからもっと大事な発見がありました。上り坂ではスタートしてはいけない。これも大事なことのようです。硬いところで再スタートだとまだいいけど、やわらかい路面の上り坂で再スタートしようものなら即スタックです。埋まるとそこから掘り出すのが大変なのです。
40kmを越えた辺りから急に砂丘が高くなってきました。今までは周りを見渡せば高さ数メートルの砂丘があったのに一番低いデューンでも高さが20mはありそうです。先を登っている車の大きさが5ミリほどに見えます。
これって登れるの??と思って周囲を見渡すけどオンコースの方向は20m以上のデューンばかりです。仕方がないので行くことにしました。とりあえず3速で助走。そのまま全開で登ります。頂上近くなって気づいたのですがこのデューンは先がとがっていそうです。こんなところで前転したらどこまでも落ちていく気がします。ちょっと前でアクセルを戻したけど....あ~スタック…頂上まではまだ数メートルあります。押して登ろうと試みたけどバイクは埋まっていくばかり。
怖かったのにやり直しかよ...バイクを掘り起こして今登ってきた斜面を下ります。この斜面もそれなりの斜度でエンブレをかけながら下るけどどこまでも加速してめちゃめちゃ怖い。そのまま反対の斜面に上りUターン。そしてまたまたアクセル全開で登ります。しまった。頂上近くまで行ったなら反対側がどうなっているのか見るんだった....しかし時、既に遅し。
頂上はどんどん近づいてくるのだからちょうど良いところで止まるようにアクセルを調整するしかありません。惜しいことに今度はフロントタイヤが頂上を超える30センチ手前で止まってしまった。が、前転するよりましなのです。今度は反対側が見えました。下でライダーがバイクを分解しているけど点に見えます。おまけにその向こう側はめちゃめちゃ高いデューンの連続です。あ~もう。
ただでさえビリなのに毎回頂上で止まったり埋まったり周りを観察したりするのでますます時間がかかって10キロ進むのに1時間。そんなことを一生懸命しているうちにどうやら60km地点まで来たようである。第一ステージは後10km。ここまで来ると集落がぽつぽつ見えてデューンも小さくなりました。ここまで4時間です。
ゴールの後サポートカーで給油とオイル量のチェックをしてご飯を食べて水を飲んで再スタートしました。心なしかバッテリーと人間が弱ってきているような気がします。
スタートしてすぐ少し大きなデューンで引っかかりました。バイクを逆さまでしばらく放置してしまってセルを回すがエンジンがかかりません。ここでバッテリーが空になってしまいました。こうなると私はめちゃめちゃ弱いのです。結局エンジンをかけるのに30分。。
10キロほど行ったところで轍を見つけてそれについていきます。轍がデューンに登った瞬間、まずいと思ったけどもう遅すぎました。ブレーキをかけたけど深さが15mはあろうかという巨大なスリバチに落ちていきます。おまけにエンストまでしてしまいました。仕舞いには下りでこかしてしまい、そのままズルズルとすべり落ちる始末。またキックなのです。今度は本気でかかりません。一生懸命やっていたらなぜだかハナミズが出てきました。これってまずいかも...ということでちょっと休憩してまたキック。そんなことを繰り返すうちの足切りの時間まで数十分になってしまいました。仕方がないのであきらめることにしました。
本部に電話して、エンジンがかけられないこととGPSポイントを伝えます。迎えには2~3時間かかるから日陰で水でも飲んで休んでおいてとのこと。バイクからエマージェンシーブランケットを出して片端をバイクに貼り付けます。もう一方の端は自分で持ってその下に収まります。そこで昼寝して待つことしました。
2時間位してからバイクの音が聞こえてきた。カイザーです。とりあえず私だけを運んでバイクは主催者が回収してくれるそうです。ゴールは以外に近い場所で5分もしたらホテルにつきました。2日連続回収で少々へこんでいました。やはり砂はダメなようです。とりあえずコーラを飲んでシャワーを浴びて一眠りすることにした。
夜、チームのところに行ったらバイクが戻ってきていた。エンジンはかかったようなのでバッテリーの充電をお願いして、今日は終了です。
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