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何かと不穏な時代に大先輩からの「おい、なんだい!」と、難題山積みの熱きメッセージ、まあSSERの社説のようなものです。

 

「観光の島が難民の島に」

昨年の夏、ラリー・モンゴリアが終わってから地中海のマルタ島へ行き、1カ月ちょっと滞在した。十字軍が流れ流れてヨーロッパへ戻り、マルタの地へ安住した形だが、オスマントルコの侵攻を防いだことで、中世ヨーロッパで大変な話題になったようだ。その後ナポレオンにあっさり降伏。2年後にはイギリスのネルソン提督に統治を依頼して1975年までイギリス支配の国だった。

そのマルタが今、大変なことになっている。リビアからの難民が押し寄せているのだ。リビアの戦闘機2機が、国内を攻撃するのを拒否してマルタまで飛来した頃から、マルタへ押しかける人々は増え続けている。淡路島の半分の面積に41万人が住んでいる小国だ。この国へ今度は1800人のアジア系労働者を乗せたフェリーが到着した。

リビアからの距離は350キロほどで、かつては北アフリカと頻繁な行き来があり、さらに150キロ北のシチリアまで行くよりずっと近い。リビアを脱出する人々にとっては、最も近い避難地でもある。しかし、観光以外にこれといった産業もないマルタにとって、着の身着のまま、の人々を受け入れるのは厳しい。そうでなくても北アフリカからの密入国者に往生している。収容キャンプを作って何とか対応しているのが実情だ。

マルタのローレンス・ゴンジ首相は「我が国はリビアの問題が起こってから既に89カ国、8000人をリビアから押しつけられている。これ以上、エスカレートするようならヨーロッパの国々に分担して引き受けて貰うことが必要になる」と悲鳴を上げている。いったいどこに住まわせるのか、島の広さを考えるとこれは大変なことだ。

フランスのサルコジ大統領は北アフリカからの難民は「コントロール不可能」と語り、どう対応するかE U の首脳が話し合うよう提案している。マルタ本島を南から北まで走っても道路の距離で60キロ足らず。地図を見るとジェット機の発着できる空港が本島の4分の1以上の長さに見える。

石油価格が上がる、食料が上がるなどと心配しているが、近い国で革命でも起こったら、マルタの置かれた立場を他人事とは思えない。政争の明け暮れる日本国は大丈夫なのかね。


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