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何かと不穏な時代に大先輩からの「おい、なんだい!」と、難題山積みの熱きメッセージ、まあSSERの社説のようなものです。

「誘拐」

パリ〜ダカールと呼ばれる砂漠のラリーが開催されていたことは、次第に忘れられてきている。サハラを巡る各国の治安が悪化し、ラリーそのものが人質に取られる危険まで考えられるようになり、3年前から開催地を南米へ移し、アルゼンチン、チリで開催されてきた。来年からはブラジルをコースに加えるとされるが、まだ正式には発表されていない。

そんなときにアルジェリアでイタリア人観光客が誘拐され、ニジェールへと拉致されたのではないかと伝えられている(2月6日)。誘拐された人は53歳の女性ら15人の観光客とドライバー、ガイドなどでニジェール、リビア国境に近いアルジェリア南西部の町ジャネットで起こった。誘拐はドライバー、ガイド、14人が2台の車に分乗しての観光中だった。しかし、彼女とドライバー、ガイドは解放され、残る14人の観光客は「おそらくナイジェリアへ拉致されたようだ」という。

サハラ一帯は1990年代から治安の悪化が進み、反政府軍や山賊集団、さらにはイスラム教過激派などが活動を強め、主催者のA.S.O(フランス)はサハラ砂漠を中心とするラリーは、ラリーそのものの危険があるため開催不可能。舞台を南米に移さざるを得なかった。しかし南米へ移るに当たり「いつかは、出来るだけ近いうちにアフリカの大地に戻る」と語り、サハラのラリーへの夢を維持するため、名称も“Dakar”としている。

今度の誘拐はアルジェリア政府に対する反政府組織との関連は認められず、どういう組織が行っているのかはっきりしていない。誘拐が発生した当たりは外国人観光客に対して誘拐の危険が高まっている、との警告が発せられている。誘拐現場はジャネットの南約130キロのアリデム付近で起こった。

アリデム地域のアルジェリア軍は2台の車両を捜索しているが、既に誘拐者たちはアルジェリア国境を出ていると消息筋は伝えている。去年、アルジェリア、ニジェール、モーリタニア、マリのサハラ周辺国はアルジェリア南部にアルカイーダの傘下とされるイスラミック・マグレブに対抗する軍のヘッドクオーターを設けている。これらの国々では観光客に対して、身代金目当ての誘拐の危険があることを警告している。

パリ〜ダカールは一昔前の日本の冒険好きの若者を引きつけたが、壮大なサハラの旅が戻ってくるのはまだまだ望みようもないようだ。 


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