ふと出会った新潟の夫婦と話していたら、鮭の話になりました。新潟県も北部
の関川村の人で「村上市の三面川では今、鮭が遡上しています。岩船港には遡上
前の鮭が揚がって、生の筋子もありますよ」といいます。
数年前に北海道・日高地方で生の筋子を幾腹か買い、酒と醤油で味付けして、
とても旨かったことを思い出し、それでは行ってみるかで、早速出かけたのです。
「1日2000円くらいの入漁料で鮭釣りも出来る。そう沢山は釣れないでしょ
うが、何匹か釣る人もいますよ」と聞いたので、心は勇みます。生憎の荒天で強
い雨が降ったりやんだりで、気温も低く川に入って釣りをする気にはなりません。
それでも釣り人のいる川を見つけ、しばらく見物していましたが、3人の釣り人
がいたのに、誰も鮭を釣り上げてはいませんでした。
雨の中、好きとはいえ川の中に入って竿を出しています。ご苦労なことです。
「釣れますか?」
「…」
「鮭は釣れましたか…」
「駄目だね。これからだ」
あまり機嫌はよくないようでした。余計なことを聞いたものです。
釣り道具や装備は鮭釣りなどしたこともないのし、沢山釣れるようなら釣り道具屋で仕入れようと思っていましたが、どうやらビギナーが手を出すようなものではなさそうなので止めにしました。
生の筋子を探し幾腹か買いましたが、魚屋では見事な鮭が1匹2000円から2500円ほどで売っています。釣り券代で到底、食いきれないほどの大きさの鮭を売っているのです。さすがに大きすぎて買う気にならず、筋子だけを買って帰りました。ゆっくり塩水の中でほぐします。醤油と酒で味付けしたらそれは見事なイクラが出来上がりました。
どうして都会では価格が倍以上もするのでしょうか。流通機構の問題でしょうが、日本海沿岸の漁協は競り場がありますが、殆どは幾人かの業者が一気に買ってしまいます。地元の魚屋さんなどは、おこぼれ頂戴のありさまです。漁船が港へ戻ってくる時間に合わせて業者のトラックが回ってくるのではなく、トラックの移動する時間に合わせて船が港へ戻ってくる情況です。
トラックは沿岸の港を巡り、そのまま築地へと直行です。
ー地元の魚が食いたいな。
「良いものは皆、持ってれてかれて、地元じゃ食えないな。一本釣りの年寄りがポチポチ揚げてくるのを買うしかないのさ。旨い魚は築地へ行っちまう」
地元の魚料理を売りにしているオヤジの嘆きです。だいたい、宮城や新潟の「魚安売り通り」には、地元産以外の魚が多いのです。なにもバスにのって買い物ツアーなどする必要もないと思うのですが、ゴッポリ買っているのです。
−そんなに家で食べるんですか?
「…」
大勢で来て競争のように買います。安いものがあったにしても、周囲の人に配るのが良いところでしょう。買い物ツアーとは安物を買って、知り合いに再配分する楽しみを買うようなものです。
そういうジジも生の筋子を沢山買い込み、得意になってほぐし、味を付け、容器まで買ってクール宅急便で友人に送っているのですから世話はありません。言ってみればささやかな楽しみです。
今度の政権は良いことずくめのようなことを言っていましたが、この調子では税金は上がる、年寄りの実質収入(年金など)は減りそうです。
「オレたちにはあまり関係ないけど、これからの人や60そこそこの人は、きっと今の政権のバラマキや民主党内で選ばれた70人だけの意見で政府が運営され、同じ党員でも約300人の議員の意見は無視されるのだから、どうにもならないわな。ヒトラー・小沢とでも改名した方が分かりやすいかな」などと、世の中を諦めた年寄りは言い合って頷きます。
せいぜい鮭のイクラでも作って、喜ぶくらいで、ヒトラー・小沢やチータカ・鳩山に期待は出来ませんよ。日本がどうなるのかは、選挙で“浮かれ日本人”が投票したのですから、これも諦めでしょう。有り金投じて遊んでおくことしかないようです。そこで来年も元気でラリー・モンゴリアへ出かけたいと思っているのです。
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