「若者のチャレンジ精神に期待」
F1グランプリも寂しくなってしまった。ホンダに続きトヨタも撤退し、日本勢は姿を消した。1960年代のホンダ参戦、80年代からのエンジン供給、そしてトヨタの参戦と長い間F1シーンに関わり続けた日本勢が姿を消してしまった。B S も来年でタイヤ供給を打ち切る方針だ。
日本メーカーのF1への関わりがなくなると共に、日本人F1ドライバーもグランプリから姿を消すことはやむを得ない流れだろう。ウィリアムズの中嶋一貴は、トヨタのエンジン供給と無関係ではないし、トヨタのリザーブ・ドライバーだった小林可夢偉も今年の最後2戦、ブラジルとアブダビを走ったのが最後になると思える。
控えドライバーだった小林がブラジル9位、アブダビ6位の成績をおさめられたのはせめてもの救いと言うところだろう。サーキット・レースはスポンサーなしにはまず戦えない。ましてF1ともなると、個人での参戦などハナから不可能だ。
日本人のF1ドライバーを育成するトヨタの若手ドライバー育成プログラム(T D P )もF1撤退とともに縮小が決まっている。フォーミュラ・ニッポンは今年8戦開催されたが、観客動員は昨年より4万人ほど減ったし、スーパーG T もやはり観客数が4万人減って44万6000人ほどになった。日本のモータースポーツは冬の時代に入ったと言えそうだ。
目をダカール・ラリーに移しても、日野のトラックで頑張る菅原親子を除けば、果たして2010年に何台の参加があるのか…。80年代には日本からサハラ砂漠の“冒険ラリー”に30チームも参加していたのだ。
S S E R が主催するラリー・モンゴリアへ今年出かけて、クロスカントリーの面白さを再認識したが、来年はどのくらいの人が参戦するだろうか。夢のない時代、などと嘆く前にバイクや車で、未知の砂漠や草原へチャレンジしてみれば、新たな世界が開けると思う。
見るだけのモータースポーツの衰退を嘆くより、自らが走り、飛び込める世界を広げることで、車やバイクの世界もまた、変わっていくことを期待しているのだが…。日本の若者にチャレンジ精神がなくなってしまったとは思えない。
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