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2007年9月27日 行程17日目
モスクワ -> サンクトペテルブルグ
走行距離:720km 走行時間:13時間30分

早朝、サポートのピックアップトラックTOYOTAタンドラの荷物が多すぎ!!るというこが問題?になって、現地でのサポートカーが手配できていなかったこの地域、特にモスクワからリガまでの3日間レンタカーの手配しよう!!ということになったの。ところがモスクワのホテルやツアー会社ではレンタカーの手配は出来ないって即答!!「なによー」日本で調べてもレンタカー会社は少なくて難しいらしい、ましてレンタカーが国境を越えるのはもっと難しいんだって。乗り捨てなんてもってのほかのよう。とにかく、かなり探してもらったのだが・・どうもロシアではレンタカーシステムが構築されていないようよ。トラックはめちゃ多いのにねぇ。

そうこうしている間にも、スタートの準備。ジャンガルはモスクワ時代の同級生がホテルまでやってくるんだ!とうれしそうに待っている。さっきから「あれはホテルの人?」だと思っていた男性が同級生??だったんだよねー?うーん、同い年??ジャンガルはお母さんがロシア人でお父さんがモンゴル人なのです。子供のころから学生時代まではロシアで過ごしたのだね。幾つになっても国境を越えて連絡取り合っているって友がいるということは素晴らしいね。その彼は仕事を抜け出してきていて、赤の広場までは一緒に行く様子。あー同級生って、無邪気に子供時代のような2人がうらやましいね。でその友達は旅立つジャンガルを「うらやましい」と見送ったそうな。

スタート!!しようとすると・・・ドウシタ!無線が賑やかだ。どうも亀さんと山口さんが間違えて駐車場の入口から出てしまったようだ。出口を間違えるとナカナカ合流するのが難しくなるの、大きな街ほどね。まあよく確認してから出口から出なきゃね。でもね、おじさんライダーたちも一生懸命なんですよ。遅れないように先に先に行動すると、間違えちゃうし、自分のことで一杯一杯なんですよね。こんなとき怒っちゃダメなんだよなー。

なんとか全員合流、出発。まずは赤の広場へ向かう。無線では15年前のパリ-北京の時の赤の広場はどうだったと盛り上がっている。まあー同窓会って感じかな。

赤の広場での近くに居た警官に掛け合って撮影許可「ちょっとだけだよ」「おー!」とばかりに撮影がはじまった。なんか、みんなニコニコしているだな。「やっときました。元気も出てきました。」「うれしいね。モスクワだ、赤の広場だってぇ、わけわかんないままここまで来たけど、ほんとうにうれしいーよ。」「赤の広場まで、こうやって来たおじさんはいないよね。」「ついに来たねー、赤の広場にねー」って、ここまで走って来たことを自分に言い聞かせているようでもあり、自分を褒めてるようでもあった。ほんとうによくここまで来ましたね。

でも少しの時間しか許してもらえていなかったから、赤の広場には10分程度留まっただけ。

14時30分 トヴェリという街へ到着した。ロシアの古い都だそうです。この街に入ったところで何度か電話が入るが、途中で切れてしまう。車が止まると同時に日本へ連絡。なんか胸騒ぎがしたからだ。三好さんの声が暗い。「何があったの」「さっき、カオルさんの奥さんから連絡が入って、カオルさんの実のお姉さんが亡くなったそうです。」「・・・・・」胸がギューと痛い。どう伝えたらいいんだろう。とても辛い。山田に相談した。今、伝えるべきか、今日ゴールしてから伝えるべきか、悩んだ。「いつ伝えても悲しみは一緒だけど、いま伝える必要があるよ。伝えるよ、僕から・・・」1ヶ月近くも旅をしていると、どんなことがあっても不思議じゃないよね。

トヴェリの街で昼食の予定だったので、ヴォルガ川の辺のカフェテラスでチキンやポテトフライなどテイクアウトして食べた。そしてこのモスクワよりも古くて由緒があるという街をあとにした。それからちょっとカオルさんが気になるので1時間ほど走ったところでカフェに入って小休憩!!元気そうに振舞っているカオルさんだけど「バイクっていいっちゃ。泣いていても誰も見えんもん。いっぱい泣いた。前が見えんくらい。幼いころのことを思い出してな」って教えてくれた。

ロシアの小さい町を走りながら、急に無線で山田が話しはじめた。5台のバイクのうち無線がついているのは山田だけだ。「石原さん、なぜぼく達が走るのかわかったよ。ロッキーファイナルだよ。」「へー、それはまたどうして。」これは番組制作にいろいろと頭を悩ませていた石原さんへのアドバイスだったのかしら。「あの映画で年老いたロッキーが、強いけど不足な若いチャンピオンと戦うだろ。あの姿がぼく達だ。勝てるわけはないけど、負ける訳にも行かない。自分を疎む息子や若きチャンピオンに示したかったのは、過去の栄光ではなくて、今も闘う父親であり男の姿だったはず。」「・・・・・」にわかには何が言いたいのか良く分からない。無線のついているランクルやタンドラたちみんな固唾を呑んで次の言葉を待っていた。「だれもが止めておけ!というような無謀な事に挑戦することだよ。それは今の情けない社会に対してもアンチテーゼを放った。」「なるほど」みんな男として父親として思い当たる節があるのだろうか。おじさんの心は複雑でデリケートなのかもしれない。でも老いと若さの狭間で、今できること、今じゃなきゃ出来ないこと。そんなプライオリティばかりで考えて行動しているのかと思っていたのだけど・・・。「みんな不器用だから・・・」誰かがそう言った。そう、おじさんたちの魅力とは、その不器用さなのだろう。

午後11時30分サンクトペテルブルグに到着した。クリスマスのようなイルミネーション。なにか蜂蜜色の光に包まれてきらびやかなようで温かくて、豪華なようで優しそうな感じの街だ。毛皮のコートを着たご婦人がこちらを眺めているかと思えば、タンクトップのお姉さんも興味深そうに見ている。おじさんたちの目つきが変わったね。

そんなこんなで夕食はホテルの前にあるレストランへ。この街は日本食がブーム!!ヘンテコリンな日本語の看板とお相撲さんのイラストが溢れている。レストランには「お寿司」って書いてあったから、ここにしたのに・・・お寿司は午後11時までだって!ショック!!「でも別に寿司なんて食べなくてもいいや。」の一言でみんな楽しく食事しました。途中で亀さんとカオルさんは子供のように寝ちゃったんですけどね。

明日はお休み!!自由行動!!どうぞ皆さん自由にお休みください。走んなくていいからね。