「アドベンチャークラスのすすめ」
今年のツール・ド・ブルーアイランドに、CRM50で参加してきました。これで4度目のTBIでしたが、アドベンチャークラスでの出走は初めての経験です。
昨年、スカラーシップを頂いて念願のラリー・モンゴリアに出場し、この時点で次にTBIを走るんだったら小さなバイクで成績よりも「旅」をより楽しんでみたいと思っていたのが間際になってトントン拍子に準備が整い、結果として出場に漕ぎ付けることが出来た次第です。
車両が手元に届いてナンバーを取り、最低限気持ち良く走れるように一通りメンテナンスを済ませて乗り出したのがスタートの2週間前という準備不足状態でしたが、元々が”完走できればモウケモノ”的お気楽モードだったので細かい事はあまり気にせず、GW直前まで仕事だったこともあって友人にラリー用の艤装をお願いして当日を迎えました。
16で原付の免許を取り、ヤマハのRZ50というロードモデルのバイクで1年ちょっとの間に距離にして3万キロくらいを走破し、毎週末に箱根だ大垂水だと走りに行っては下りの峠道で大型バイクを脅かしていたような時期があったので、”自分は今でも50ccでもイケる”みたいな漠然とした自信があったのですが、フタを開けてみれば初日から成績はボロボロ・・・他のアドベンチャークラスの参加者と比べて20kg以上体重のハンディキャップがある自分はSSの上り勾配で速度が乗らず、タイム的にまったくダメダメな状態が続きました。
実際に走ってみて分かったのですが、アドベンチャークラスは実質的にCRM50のワンメイク状態で、マシンの仕上げ方も内容が限られてくる”イコールコンディション”的カテゴリーなので、腕と体重(笑)の差がシビアに成績に現れてゴマカシが利きません。タイヤも標準のものしか現実的にチョイスが無いのでラフなダートでは接地感が不足してマシンの挙動が掴みづらく、小径ホイールのためにタイヤの空気圧を落とした際にリム打ちによるパンクの可能性が高まるためどうしても安全策を取ってしまいがちで、このあたりのリスクマネージメントを含めた戦略も必要となってきます。
そんなこんなで道中イロイロありましたが、毎日何百キロも走っているうちに段々と小さな車格にも慣れてきて下りSSでのタイムも上がってきて、最終的には総合22位で完走することが出来ました。惜しくも記念カップ(クラス2位まで贈呈)には総合タイムで1分23秒ほど届きませんでしたが、目標としていたブロンズメダル(総合30位以内)はクリアすることが出来ました。
バイクに乗るようになって25年、オフロード歴も20年を数えキャリアだけは長い自分ですが、さすがにこの歳になってくると”もっと上手に操れるようになりたい”といったようなモチベーションを今までのレベルで掲げ続けるのが難しくなってきて、手を変え品を変え自分をダマクラかして新鮮な気分で色々な事にチャレンジしているワケですが、その意味でも50ccでTBIを走るというのは想像以上にユニークな体験で、自分の重量的ハンデをこれまで培ってきた経験やテクニックでいかにカバーするか、という難題に取り組みながらの毎日はこれまで出場したTBIとはまた違う意味で”ラリー的”な時間でした。
”50ccでTBI”なんて聞くと、どんだけマゾなんだろう?と思われる方も中にはいらっしゃるかと思いますが、CRM50に関して言えば動力性能のとても高い車両なので、本来の性能を発揮している限りは人が言うほど時間に追われて走りっぱなしの辛い思いをするようなことはありませんでした。温泉や美味しいものも過去に参加したTBIと同等かそれ以上に楽しみ、尚且つ時間制限に関するペナルティは一度も受けずに済んだのがその証です。そしてヨーグルトの容器と同じ位の大きさのピストンが一つ付いただけの小さなエンジンが常時唸りっぱなしになるのを案じながらの6日間は、心細い分だけバイクとの”二人っきり”の時間をさらに濃密なものとし、完走できたアカツキにはより質の高い達成感を得られるのです。
次回はCRM50でTBIに出場する際の、具体的なアドバイス(まぁ1度しか走ってないので大した事は分かりませんが・・・)を綴ってみようと思ってます。
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