クロスカントリー・ラリーのルール
■タイムトライアル競技

クロスカントリーラリーはモトクロスやF1のようにスターティンググリッドから一斉にスタートするのではなく、一台ずつが一定の間隔でスタートするタイムトライアル形式で競技を行います。スタートする順番はゼッケン順とか前日のゴール時間順または前日までのリザルト順などになります。

リエゾン(移動区間)後のSS(競技区間)スタートでは、リエゾンの持ち時間(タイムアロウド)によってスタート時刻が決められていて、遅れてはいけません。ただしTBIや北海道・九州4デイズでは到着順でのスタートとなります。

■順位の決定

ラリーは競技区間(SS:スペシャルステージ)とリエゾン区間(移動区間)で構成されており、SSでの所要タイムが少ない順に順位が確定されます。ただし途中設けられたCP(チェックポイント)を通過できない場合や、さまざまに決められたレギュレーションに違反した場合はケースごとにタイムペナルティーが課せられ、そのステージごとの総合計と、その日までのスタートからの累計によって順位が決定します。

■公道競技

ラリーは一般公道を利用する競技であるため、道路交通法規を遵守すると共に地域社会に配慮する必要があります。SS(競技区間)では一般車両の進入を防ぐなどの対策が施されていますが、リエゾン(移動区間)では一般公道や市街地を走行することもあるため、交通法規に準じた厳しいレギュレーションが設けられており、交通違反者は即失格という競技も珍しくありません。そのためリエゾン内に設けられるCPでは設定タイムより早く到着した場合にもペナルティが課せられる場合があります。また競技車両も一般公道を走行するための車検の取得はもちろん、地域社会や自然環境に配慮した様々なレギュレーションが設けられています。

■コマ図で走る

原則的にクロスカントリーラリー競技では事前に走行ルートが発表されることはなく、地図が配布されることもありません。通常のWRCなどのラリーではルートは発表されレッキといって事前の走行が許されているものもあります。ナビはペースノートを作り極限の走行に挑戦します。一方でクロスカントリーラリーは直前までルートに関する情報は秘密にされます。どちらのラリーでもコマ図と呼ばれるルートブックが配布され、トリップメーター(ラリー専用のもの)の距離とコマ図のイラストからルートを読み取りながら目的地を目指します。四輪の場合は助手席のコ・ドライバーがナビゲーションを担当しますが、二輪やクワドの選手はロール状に巻いたコマ図を自分で確認しながら走行します。

■使用する車両

乗れるものなら何でもOK」という合言葉のもと始まったクロスカントリーラリー。パリダカではべスパやロールスロイスも参戦しました。モンゴルでも過去にはプリウスやスーパーカブ、べスパなどで参戦した記録があるように安全性を確保するためのレギュレーションさえ満たしていれば基本的にどんな車両でも参加は認められます。しかし公道を使用するラリーでは、一般公道を走行できる車検の取得はもちろん、自然環境や地域社会に配慮するために様々なレギュレーションが設けられていますので注意が必要です。

(モンゴルのラリーでは登録、車検の必要はありません。)

 
ラリーマシン

ラリーはロングディスタンスで、常識的に想定できないあらゆる路面を走行します。そのためマシン制作にあたっては、スピードだけではなく耐久性とのバランスが重要とされます。また各競技で定められる安全性を確保するための装備、地域社会や自然環境に配慮したレギュレーションを満たす必要があります。

⇒AUTO

原則的には安全性を確保するためのモンゴルではFIAのクロスカントリーラリーの車両の安全基準に準拠しています。

転倒時の安全確保のためのロールゲージ、4点式以上のシートベルト、ナビゲーションを行うためのトリップメーターの装備、そしてロングディスタンスを走破するための予備燃料タンク(モンゴルの場合は航続距離280kmですからほとんどの場合は不用です。)が必要です。その他の補強などはカテゴリーごとの基準に応じていれば自由ですが、改造を施した箇所がトラブルの原因となることも多いため、出来る限りノーマルに近い状態がよいというエントラントも少なくありません。RALLY MONGOLIAで2010年度に新設されたジムニークラスや、中古車をベースに制作すれば思いのほかローコストでマシン制作が可能となるでしょう。

MEMO 

09RALLY MONGOLIAで四輪部門優勝(2010年度は二位)を果たしたANAR CHINBAATAR操るパジェロエボリューションは、ほぼ無改造で一部純正パーツを用いた小規模な改造を施している程度。一方2010年度四輪部門優勝(09年度二位)のLKHAGVASUREN操るチャレンジャーはほぼ原形を留めないまでに改造が施されています。共に同じエンジンを積み10年以上前の車であるという以外は対照的な二台。こうしたマシンのどちらにもチャンスが与えられるのもクロスカントリーラリーだと言えます。

⇒MOTO

MOTO部門ではロール状のルートブック(コマ図)を巻き取るマップホルダー、的確なナビゲーションに必要なトリップメーター、そして長い距離を走破するためのビッグタンクの装着が必須となります。オフロードバイクは本来、十分な性能を有しているものが多いため、大きな改造はせず、ほぼノーマル状態で参戦する選手が多くを占めています。排ガス、騒音規制により年々スケールダウンを余儀なくされる国産バイクも依然健闘していますが、近年はラリーコンプリートマシンを市販するKTMなど海外勢が圧倒的な強さを見せています。

MEMO

ラリーは同じ排気量のマシンがタイムを競うのではなく、色々な条件の異なるマシンが同時に走行する異種格闘技?戦。だから選ぶマシンは出場者の自由。わざわざ年式が古かったり、排気量の小さなマシンで完走を目指す挑戦者も少なくありません。
  SSERが主催する国内ラリーでは原付(50cc)限定のアドベンチャークラスが設けられており、このカテゴリーの完走者には栄誉ある賞が贈られます。アドベンチャークラスの選手は世界が二倍広く感じると言います。
  ダカールなどでは最高速を押さえるために排気量の規制や、AUTO部門ではリストリクターという吸入径規制が実施されています。自由であるはずのクロスカントリーラリーも、少しずつ時代と共に変貌し始めたともいえます。
  ラリーモンゴリアでは、初期のパリダカールのアドベンチャー精神を踏襲し、プリミティヴなラリーのありようを模索しています。

▲ TOP ▲
 
Introduction of SSER : SSERとは | SSER2012スケジュール | SSER History | ラリーを始めてみませんか